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日下川放水路(既設)日下川新規放水路戸梶川戸梶川日下川日下川日下川放水路新規放水路(既設)越流堤日下川図10トンネル標準断面図図11呑口部の施設配置図(現況)図12呑口部の施設完成イメージ圧10~20mの場合、全内水圧を受け持つ鉄筋を配筋することとしているが、当設計では学識者の指導のもと、FEM解析結果(発生引張応力)が、覆工コンクリートの設計限界値(コンクリート材料の設計強度)を満足していることを確認し、無筋構造物(坑口、交差、サイホン部除く)とした。なお、本放水路トンネルは圧力管になることから、エアハンマー対策として、トンネル呑口・吐口部付近に通気孔(内径φ0.4m)を設置している(図9)。日下川新規放水路鎌田用水路(トンネル)仁淀川接続ます図13吐口部の施設配置図(現況)既設放水路(2本)■呑口部昭和57年に竣工した放水路トンネル呑口部は、日下川と戸梶川の合流点直上流の戸梶川に位置する。一方、仁淀川合流点から放水路呑口部付近までの2つの河川には、農業用水としての取水施設(揚水)が数多くある。これらの施設に影響を与えないよう、旧施設と新施設を一体化させた越流堤(固定堰)を設置することにした(図11、12)。このことにより、分流後の開放部の流速は局所的な高速流域が発生しない流れとなり、また事業費が安価になった。■吐口部吐口部は、鎌田用水路をアンダーパスしてから仁淀川河床高に戻す必要があることから、落差を解消するための立坑(円形の接続ます)を設置することにした(図13、14)。立坑は崩壊地形の山裾に位置してお鎌田用水路り、斜面を転げ落ちた巨石などが複雑に堆積していることが推測された。したがって、立坑の施工方法は一般的な鋼矢板(鋼管)などによる開削工法ではなく、地上で構築した躯体を下部の作業室で圧気・掘削しながら躯体を沈下させるニューマチックケーソン工法を採用した。これにより、巨石対応や仁淀川の水位変動による工事影響、濁水を出すことの少ないといった施工性と、工期や経済性で有利となった。■おわりに「仁淀川床上浸水対策特別緊急事業(日下川)」は、国とともに、県、日高村が連携して総合的な治水対策を推進し、国が実施する放水路のほかに、日下川・戸梶川の河川改修は高知県、局所的に低い家屋の浸水対策は日高村が実施することになっている。本事業は、工事完成までおおむね5カ年(平成32年度完成予定)という目標の中で、平成30年3月に工事起工されたところである。今後の工事進捗状況に常に関心を持ち、日下川新規放水路が無事完成できるよう、設計者として見守っていきたい。図14吐口部の施設縦断図<参考文献>1)「高知工事事務所四十年史」建設省高知工事事務所Civil Engineering Consultant VOL.282 January 2019045