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医療費と学費が高いカンボジアの医療水準は低く、高所得者は隣国のタイやシンガポールにて治療を受けることが多かった。しかし近年、プノンペンにタイ、シンガポール、日本などの病院が開業し、その国の先進医療が受けられるようになった。何回か日系医療機関で治療を受けたが、医療費は健康保険を使わない場合の日本よりも高いことに驚愕した。某クリニックで風邪を診察してもらい、診察料が150ドル、クリニック利用料が30ドル、5日分の薬代が130ドルであった。学費が高いこともよく言われている。中学校までは義務教育であり、公立の学校であれば学費は無料であるが、教材代が高く教育の質が低いなどの理由から、私立に通う学生が多い。公立に通う学生も塾に行く場合が多い。最近は小学生から英語の英才教育を行っている家庭が多く、それは全て塾で学ぶものであり、合わせて考えると学費が高く、高所得者しかいい教育が受けられない状況である。道路や交通インフラプノンペンの都心と空港を結ぶシャトル電車が2018年4月から運行し始めたが、路線や停車駅が少なく、試乗客はいても常連客が殆どいない。プノンペン市内の交通は車、トゥクトゥク、バイクが主であり、近年は通勤や通学時間帯での渋滞問題が顕著化している。公共交通機関は市内バスが数年前から導入されているが、路線が少ないのが現状である。地方への電車は毎日運行する北西ポイペトを結ぶ路線と、週末と週初めしか運行しない南西シアヌークビルを結ぶ路線があるが、何れも時速20~30kmと高速では移動できない。上下水道カンボジアの上下水道の普及率は2017年現在、上水道が14%、下水道が11%である。水道といえば、2015年に『プノンペンの奇跡』という書籍が発売され、北九州市とJICAの支援によりプノンペン水道が著しく改善され、水道ODA案件の成功事例として国内外に発表された。カンボジアの水道事業には公的水道事業体と民間水道事業体がある。公的水道事業体は現在13事業体あり、その中でプノンペン、シェムリアップは公社化(=民営化)している。上水道を所管する工業手芸省によれば、2025年までには全ての公的水道事業体を水道公社化する計画であるが、自立して採算性が確保できるようになるにはまだ時間がかかりそうである。下水道については、プノンペンやシェムリアップのような大都市では下水道管はあるが、管網自体がきちんと整備されていない又は排水先であるラグーンが都市開発により急激に縮小しているため、雨季には市内でたびたび洪水が発生している。JICAなどによりプノンペン市内の下水道マスタープランが策定され、下水処理場や排水管網が整備される予定である。電力カンボジアの電力費は隣国より数倍高いといわれている。契約している現地事務所(プノンペン市内)では0.28ドル/kwh(約30円/kwh)である。2016年現在の発電量をベースに、写真3プノンペン市内の渋滞写真4プノンペン駅発着ホーム050Civil Engineering Consultant VOL.282 January 2019