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Consultant283

特集土木技術者の姿今を生きる土木技術者や、将来土木を目指す若者たちへ国土交通省の社会資本整備審議会の委員を務めはじめて、9年目になります。もともと私は通信業界での経験年数が長く、通信インフラはある程度理解していましたが、土木インフラについて詳しく触れたのはこの9年間が初めてです。土木に触れて、なんといっても衝撃を受けたのが「土木インフラの構築というのは、こんなに手間暇がかかり、そしてこんなにメンテナンスが必要なものか」ということでした。私たちは道路や橋などの社会基盤を、当たり前に享受しています。しかし、地球のそのままの環境では、とてもこのように快適に移動したり暮らしたりできるはずがありません。それを様々な形で設計を行い、施工を行いようやく今がある訳です。よく「国の発展形態にどうして差があるのか」ということが議論になります。例えば、道路が整備されている国とそうでない国ではあまりにも生産性が違いすぎて、道路が整備されていない国は農業や工業を含めたどのような産業も国際社会では勝負にならないのです。これは日本国内も同じで、インフラへのアクセスがいい地域とそうでない地域では、全く同じ能力の会社や人材が存在したとしても、活躍ができるかできないかについての条件が異なってしまいます。私は今50歳で、かろうじて家の周りの砂利道が少しずつアスファルト道路になっていったのを覚えている世代です。しかし今を生きる多くの若者は、土木インフラは存在するのが当たり前で、そのありがたみを感じている人はいないと思います。まして、工事現場を見ると、土木現場のことを知らない多くの人は「うるさいな」とか「道路が遮断されて嫌だな」といった形で、自分の都合ばかり考えてしまうのが現状ではないでしょうか。実際に全く土木インフラが整備されていない発展途上国などを訪れてみれば、いかに日本の土木インフラが素晴らしいかということは誰しもが簡単に知ることができると思います。問題は何かと言うと、そのような事実をほとんどの人は知らないし、メディアも報道しないということです。また、どれほど土木インフラを整備するのに労力がかか010Civil Engineering Consultant VOL.283 April 2019