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写真3廣井勇写真4廣井勇が携わった小樽港外洋防波堤(北海道小樽市)下事故もあり、道路インフラなどの維持管理技術の革新的向上は国家的な課題であるという認識のもとに、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(議長:安倍晋三首相)は、2014年から始めた戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)10課題の一つに「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術(SIPインフラ)」3)を選んだ。これはまさしく課題解決志向のプログラムであり、基礎研究から社会実装までを一気通貫で行う、省庁連携、官学民連携を掲げた年間予算約30億円、期間5年の大型国家プロジェクトである。研究開発対象は、ロボットによる点検や新しい非破壊非接触検査技術、余寿命診断技術、AIを含む情報・データ技術、補修更新用新構造材料技術等である。狙うところは、さまざまな先端技術を投入して維持管理を革新することである。私はそのプログラムディレクターに応募し、任命され、責任者として関与してきている。2014年夏には研究開発課題を広く公募し、国、大学、民間からの200近い申請の中から60課題を選んだ。その分類を示したのが図1である。ロボット技術、点検・診断技術、情報技術、構造材料技術とアセットマネジメント技術の5つの大テーマから構成される。周りの4つの大テーマは先端技術で、どちらかといえば土木以外の分野がメインである。そこで開発された技術を、土木系がメインである、真ん中のアセットマネジメント技術の中に取り込んで社会実装につなげようというのが私の思いである。古市先生の「その中心に土木あることを忘れられざらんこと」の気持ちの表れと理解していただきたい。参加メンバーには横串しの大事さ(図2)について口を酸っぱくしてお願いしたが、これも古市先生の教えである。SIPインフラに参加している研究者、技術者は全体で1,000名を優に超える。調べてみると半数が土木系であるが、残りの半数は電気電子、応用物理、計測、メカトロニクス、情報、材料科学など他の分野から参加してくださっているのであり、本当にうれしく思っている。参加メンバーに、ことある毎に言っているのは、「いろいろな分野が融合して横串しし、インフラでのニーズをよく知って、使いたくなる技術・システムを作ってほしい。それができればイノベーションである」。これも古市先生の教えである。60課題のチーム代表の中に建設コンサルタント系が7つも入ってくれたのは建設コンサルタンツ協会の理事としてうれしかった。大学、国研、一般民間企業が代表のものも多かったが、各チームの中に建設コンサルタントがメンバーとして参加しているケースも多い。インフラ点検などの維持管理は建設コンサルタントの仕事であり、その内容、ニーズを理解しているので、SIPインフラのような異分野横断プロジェクトにおける建設コンサル004Civil Engineering Consultant VOL.283 April 2019