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020 Civil Engineering Consultant VOL.286 January 2020■ 日本最大級を誇る水道専用貯水池小おごうち河内貯水池は、新宿副都心から西へ約65km離れた東京都奥多摩町の多摩川上流部に位置する日本最大級の水道専用貯水池で、「奥多摩湖」として親しまれている。この貯水池は、小河内ダムで多摩川の流れを堰止めたことでうまれた人造湖である。集水域は、東京都奥多摩町ならびに山梨県丹た波ば山やま村むら、小菅村および甲州市の4市町村にまたがり、その面積は東京23区の約4割に相当する26,288haにもなる。有効貯水量は1億8,540万m3 で、東京都で使用される水道水の約40日分を蓄えることができる。小河内ダムは非越流型直線重力式コンクリートダムという型式で、高さは149m、堤頂部の長さは353mもの大きさである。1957(昭和32)年の建設当時、国内で施工されたダムの高さは70?級であったにもかかわらず、その倍の150m級になる。なぜ70?級のダムしかなかった時代に、これほど大きなダムを造ることができたのだろうか。■ 東京の近代水道の創設そもそも、なぜ小河内貯水池を建設することになったのだろうか。それは近代水道が創設された時代にさかのぼる。ちなみに近代水道とは、濾過した水を消毒し、鉄管などを通して圧送給水する水道のことである。明治を迎え江戸から東京へと変わり、東京は近代国家の日本の首都として新たに歩み始めた。新橋・横浜間に鉄道が開通し、銀座には煉れん瓦が 街がいが誕生し、ガス灯が輝くなど東京の風景は急激に変化していった。一方、地下を流れる水道は依然として江戸時代のままであり、神田上水や玉川上水を利用していた。浄水処理が施されていない河川水が、そのまま地下に埋設された石や木で作られた水道管(石せき樋ひ ・木もく樋ひ )によって人々へ配水されていた。また、維新後の混乱により、水道を所管する組織が転変し、管理が一時おろそかにな東京の水道水40日分を蓄える「小河内貯水池」東京都、奥多摩町Ogouchi Reservoir - storing 40 days of tap water for Tokyo特集 東京を支えてきた土木施設Special Features / Civil engineering facilities supporting Tokyo日本交通技術株式会社/環境調査計画部髙橋真弓(会誌編集専門委員)TAKAHASHI Mayumi奥多摩湖として親しまれる小河内貯水池