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Civil Engineering Consultant VOL.286 January 2020 021っていた。十分な補修が行われない木樋は腐朽し、水質は悪化していき、近代水道の創設が求められた。さらに、コレラの脅威が東京を襲ったことで近代水道創設促進に拍車がかかり、建設が進められることとなった。しかし、増加の一途をたどる東京の水需要は、創設時の水道の施設能力では賄いきれないことがすでに明らかになっていた。そのため、東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵に「村山・山口貯水池」の建設を行う第一水道拡張事業が進められることが決定した。この事業は、東京水道の施設能力を創設時の水道のほぼ2倍に相当する日量48万m3に増強しようとするものであったが、東京の急激な発展や1人当たりの水使用量の増加などによって給水需要は増加の一途をたどり、事業完了を待たずに新たな拡張事業が計画されたのである。新たな拡張事業の調査会では、利根川・江戸川・荒川・相模川を水源とする拡張案を検討したが、いずれも水利権との関連等から不調に終わり、最終的に多摩川を水源とする拡張案がまとめられていった。この拡張案こそが小河内貯水池の建設案であり、小河内貯水池および東京都東村山市の東村山浄水場の建設を主体とし、日量42万5000m3の施設能力増強を図る第二水道拡張事業として1932(昭和7)年に議決された。こうして小河内貯水池の建設計画が始まったのである。■ 小河内ダム建設計画された小河内ダムは、約150mの世界屈指の高堰提ダムであった。当時、国内では経験のない高さ150mにも及ぶ大規模なダムの建設は大きな反響を呼んだ。しかし東京の水需要に対応するために、150m級のダムを建設する必要があった。建設にあたってダム建設関係者たちは、アメリカで1936 年に完成した高さ220mのフーバーダムの工事記録や、文献などの調査研究、世界ダム会議への参加、アメリカの巨大ダム工事の現場視察などを行い、最新技術を取り入れ、アメリカ内務省開拓局技師の指導等も受けた。また、フーバーダムの建設で使用された中古機械などを輸入し、建設に使用した。このことは、コストダウンだけでなく、その後、建設機械の製作技術を高めることにもつながった。施工において最も重要視した点は、基礎岩盤の処理とダムコンクリートの熱処理である。基礎岩盤の処理では、手掘の仕上げ掘削に加え、軟弱部などの掘削を行った後、我が国のダム工事では初めて高速度ダイヤモン図1 ダム全景図写真1 建設時のコンクリートの打込み図2 ダム平面図