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Civil Engineering Consultant VOL.286 January 2020 025■ 東京オリンピックと首都高都心環状線の整備オリンピックが開催されると、当然世界中から選手や観光客が東京を訪れ、東京以外からも国民が押し寄せることとなる。既に飽和状態に近い都心の交通事情を考えると、オリンピックまでの首都高都心環状線整備は必須となった。しかし、用地買収の問題から整備は不可能に近いと思われた。そこで考えられたのが、既存の道路や川の上に道路を造れば「用地を買収しなくて済む」という前代未聞の案であった。そして、オリンピック開催決定から、およそ20日後には、特殊法人『首都高速道路公団』が発足し、前例のない構想の実現のため、官民問わず多くの技術者が集められた。しかし、首都高都心環状線計画には2つの大きな課題があった。1つ目は三宅坂付近で、警備の関係上、皇居のお堀の上に高架道路を造る事ができなかったことである。2つ目が江戸橋ジャンクションで、50mしか川幅がない場所に、多数の橋脚を立てれば、川をせき止めることになってしまうことであった。まず、高架での建設ができない三宅坂の皇居周辺は、地下構造で道路を通すこととした。その結果、三宅坂、平河町、半蔵門の3つの地点で車線が合流する世界初の総延長7,860mのトンネルを含む、三宅坂ジャンクションが造られることとなった。そして、江戸橋ジャンクション付近では、川をせき止めないようトンネル案を検討したが、すでに日本橋川の下に地下鉄が走っていたため地下を使うことができず、当初計画通り、日本橋川の上を高架で建設せざるを得なかった。そこで問題となったのが橋脚の本数であり、これを減らす方法を見つけなければならなかった。その解決方法として採用されたのが梁を使った工法である。梁とは、柱と柱の間を横に渡して建物の重みを支える部分で、3つの路線が交わる江戸橋ジャンクションは、それぞれの道路に2 本ずつ橋脚を立てるところを、3つの道路を梁で支えることで大幅に橋脚を減らすことができた。これは「立体ラーメン構造」と呼ばれ、日本初の橋梁技術であった。立体ラーメン構造の解析は、各フレームについて節点方程式、層方程式を立て、多元連立1次方程式を立てて解くものであり、コンピューターの無い時代に構造物全体の多元連立1次方程式を紙と鉛筆と計算尺などを用いて解くことは大変な時間と手間を要するものであった。このような苦難を乗り越えながら、1964 年10月1日までに首都高都心環状線の東京オリンピックに関連する区間が完成し、その後の整備を経て1967(昭和42)年7月に環状線の全ての区間が完成することとなった。■ KK線の計画現在、有料道路である首都高都心環状線の一部区間に、無料区間として並走する形で接続するKK線は、首都高速道路株式会社とは別の東京高速道路株式会社により管理運営されている。その建設のもととなるス図1 首都高都心環状線(赤)とKK 線(黒)のルート写真1 工事中の首都高三宅坂ジャンクション写真3 工事中の日本橋上の首都高写真2 工事中の首都高江戸橋ジャンクション三宅坂JCT江戸橋JCT京橋JCT神田橋JCT竹橋JCT谷町JCT西銀座JCT一ノ橋JCT浜崎橋JCT汐留JCT