ブックタイトルConsultant286

ページ
3/60

このページは Consultant286 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant286

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant286

巻頭言明けましておめでとうございます。新天皇の即位に伴い元号が令和と改められて初めて迎えた新年です。また、今年は新しい十二支がスタートし、56 年ぶりに東京オリンピックも開催される記念すべき年であり、新しい時代の幕開けを予感いたします。世界では、米国の自国第一主義に見られるようにポピュリズムが勢いを増して保護主義が台頭し、英国のEU離脱問題や米中の貿易戦争も相まって、国際情勢は混迷が続きそうです。一方、わが国に於いては長期安定政権の下、緩やかな経済成長が続き、社会基盤を支える公共事業予算も安定的に確保されています。建設事業では、技術革新や生産性向上に向けて、ビックデータ、AI、ICT、BIM/CIM技術への取組みが加速し、その成果が期待されています。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、建設コンサルタントは気候変動対策、安全な水の供給、まちづくり、産業基盤の開発、海や陸の豊かさの保全等、様々な分野での活躍と貢献が期待されています。建設コンサルタンツ協会は安全、安心、活力ある社会の構築と持続可能で夢のある未来の創造に貢献し、魅力と働き甲斐のある業界として発展することを目指します。さて、昨年は建設コンサルタントに大きな影響がある三つの法令の改正が行われました。第一に民法の改正です。大きな改正点は「瑕疵責任」を廃止し、「契約不適合責任」へ一本化したことです。当協会ではこの改正を受けて、標準契約約款の改訂に加えて、請負契約、準委任契約、瑕疵担保責任等の課題の検討を進めます。第二は品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)の改正です。調査や設計などの業務が品確法の対象として明確に位置付けられたことは大変に喜ばしいことでした。佐藤のぶあき参議院議員、足立としゆき参議院議員には法律の改正に大変に尽力いただきました。この法律で「働き方改革の推進」や「適切な入札・契約方法の選択」は発注者の責務と明記されているので、法的な裏付けの下に発注者の共通のルール「運用指針」を活用して、これらの課題の改善に取り組みます。第三は改正労働基準法が2019 年4月に施行されたことです。建設業に認められた時間外労働の上限規制の3年の猶予は、建設コンサルタントには認められていません。これまで受発注者が協同して取り組んできた納期の平準化やウィークリースタンス等の「働き方改革」の取り組みは、早くも2019 年度末にその成果が問われます。次に、2018 年度の発注機関との意見交換会の要望と提案の骨子は、①担い手の確保・育成のための環境整備、②技術力による選定、③品質の確保・向上としました。各ブロックで行われた意見交換会では「魅力ある業界となるためには働き方改革が不可欠」と理解を求めました。また、技術力による選定では特に地方公共団体へ普及と活用をお願いしました。その狙いは、第一に価格競争で安ければ良いという業界に若い優秀な人材は来ないため、技術で評価される業界であることは担い手の確保に必要であること。第二に技術者や業界の技術力向上には、技術が評価されるというインセンティブが必要であること。第三に地方公共団体のインフラ整備にも、安全性や利便性の向上やコスト縮減などが求められており、積極的に技術競争を活用すべきであることを訴えました。発注者の回答には手ごたえを感じたものの、これからも粘り強い要望と提案活動が必要と思います。2019 年は台風による豪雨で主に関東、甲信越、東北の広範囲に河川の堤防決壊や越水が同時多発的に発生し、大きな被害を出しました。地球温暖化の影響と思われる豪雨災害や土砂災害が多発し、大規模地震の発生も懸念されています。当協会では、毎年9月に大規模災害を想定した災害時対応演習を全国各支部と一斉に実施していますが、災害対策派遣要員の確保のための業務一時中止や技術者の交代の仕組みづくりを発注者へ要望して、災害時の緊急対応の充実・強化を図ります。最後になりますが、当協会の活動に対して関係各位の一層のご指導、ご支援とご協力をお願いすると共に、皆様のご発展、ご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年の挨拶といたします。2020 JCCA 年頭の挨拶C o n s u l t a n t s高野 登一般社団法人建設コンサルタンツ協会 会長