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Consultant286

Civil Engineering Consultant VOL.286 January 2020 037の支援体制を構築するとともに、真備浄化センターの設計成果を読み込み、施設間の水の流れ、処理システム、機械・電気設備の仕様・構成を把握した上で、翌日から現地に入りました。午前中に倉敷市で調整会議を開き、同日の午後、現場にて緊急点検を実施しました。また、点検後の夕刻に再度庁舎に戻り、今後の復旧スケジュールを協議しロードマップを明確にしました。■ 災害復旧支援内容の一例災害復旧は突発的に発生し、かつ多額の費用を必要とするものです。このため、地方自治体だけでその費用を捻出することは非常に困難です。従って、災害査定を受け、国から補助金を受けることが早期復旧において重要となります。災害査定を受けるに当たっては、国から補助金を受給しているという観点から適切・適正な被災状況の証明が必要です。プラント機械設備に着目すると、被災状況を踏まえた上で、機器の状況として維持、整備、更新を判定する必要があります。『維持』又は『整備及び更新』の判定は、浸水被害の有無、絶縁抵抗値等によって判断します。『整備』又は『更新』の判定は、どちらの費用が安価であるかを検討し決定する必要があります。この検討・判断の一例を紹介します。写真6と写真7に砂ろ過用の逆洗ポンプの分解写真を示します。機器を分解した結果、パッキンと砂を噛み込んだベアリング以外は、洗浄すればそのまま使えることが分かりました。この結果を基に算出した整備費と、機器を更新する費用とを比較した結果、整備の方が安価となりました。発災から災害査定までの期間は、規定上2カ月間しかありません。その期間内に、逆洗ポンプのように目視だけでは判断がつかない設備に対しては、関連メーカーとも密に連携を図り、必要な調査を実施し、費用比較を行った上で、方向性を決定する必要があります。■ 安定した社会基盤の維持に向けて土木学会は、将来的に起こるといわれている南海トラフ巨大地震の被害総額として発災から20 年間で最悪1,410 兆円に上り、対策として40兆円を投資すれば509 兆円に抑えられると平成30 年6月7日に発表しています。現在、日本では厳しい財政事情を基に、公共事業関係費を削減する流れとなっていますが、これでは最悪の場合、日本が破綻してしまいます。我が国は、台風、火山噴火、地震等、非常に自然災害が多い国であり、自然災害そのものをなくす方法はありません。従来は、防災の視点から各種の対策を講じてきましたが、今後は、減災やBCPの観点から対策を検討しなければならないことは論を待ちません。今回の災害復旧支援業務で得られた経験から、頻発する災害等への取り組みの在り方(産官学連携)と支援体制の再構築、事前準備の大切さ、住民理解や広報の必要性などを再認識しました。また、今後の社会資本整備の在り方についても大きな転換期であり、従来の知識や知見、今後の新技術、関係機関の柔軟な連携等によって、安定した社会基盤を維持していくことが求められていると強く感じました。写真6 逆洗ポンプ分解写真写真7 逆洗ポンプの内部写真(砂の堆積確認)