墓地と向き合う
世界で最も早く高齢化が進行する日本。
その先には多死社会が到来し、
2010年に約120万人であった年間死亡者は、
2030年代には160万人を超えると推定されている。
超高齢社会を迎えた日本において
亡き人を供養するための墓地の需要は
今後大きく増加すると想定されるが、
供給数は逆に減少傾向を示しており、
都市部を中心に慢性的な墓地不足が続いている。
このような中、
社会インフラの設計やまちづくりに携わる建設コンサルタントの立場からすると、
周辺住民に顕著なマイナスイメージが持たれることも多い墓地の存在は、
一般的に移転することが非常に困難であり、
あまり歓迎できるものではないといえる。
しかし近年、
社会的ニーズとともに墓地の形態も多様化してきており、
そういった墓地の存在に対して様々な捉え方をすることにより
新たな価値観が生まれてくるのではないだろうか。
現在の墓地にまつわる実情を踏まえて、
墓地に対する多様な向き合い方による
新たな価値創造の可能性について考える。
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