日本の土木遺産

関門鉄道トンネル
下関側の坑口
■ 下関側の坑口

世界初の海底トンネル「関門鉄道トンネル」

下関側の防水扉
■ 下関側の防水扉

源平の合戦の舞台となった壇之浦や、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘が行なわれた巌流島がある関門海峡。その海峡をまたぐ関門鉄道トンネルは、世界で最初の海底トンネルであり、本州の下関市彦島江の浦町と北九州市門司区梅ノ木町を結んでいる。工事は1936年に着工され戦時下の1942(昭和17)年に下り線が、1944年に上り線が開通した。
 開通当時は賞賛と希望を込めて、海の彼方の「竜宮へつながる回廊」と称せられた。そして開業後60年以上を経た今でも、本州と九州を結ぶ物流の大動脈として活躍している。建設資材も人材も乏しかった戦時下に造られた海底トンネルが、今もって大きなトラブルもなく活躍している姿を現地で見ると、ねぎらいと賞賛の念を抱かざるを得ない。
トンネルは、工事の難易度・工費・万一の脱線事故対策などが勘案され、下り線と上り線が別々の単線トンネルとなっている。トンネルの延長は上り線3,604m、下り線3,614mで、海底部は上下線共に1,140m である。
現在、関門鉄道トンネルは、1日に約200本の列車が通る。維持管理を行なうために、半月ごとのローテーションで片側ずつ使っているとのことである。
 優れた当時の土木技術が今もって息づいている関門鉄道トンネルが、世界に誇れる日本の土木遺産であることは誰しも異論のないところであろう。

【アクセス】
JR山陽本線に沿って「下関駅」より南へ約2km。または「門司駅」より北へ800m。

【地図】
googleマップで関門鉄道トンネルの位置を確認する

「Consultant」236号
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「土木遺産 日本編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 日本編」
ダイヤモンド社刊

建設コンサルタンツ協会