日本の土木遺産

(奥沢)階段式溢流路
奥沢水源地の階段式溢流路
■ 奥沢水源地の階段式溢流路

美しい「水すだれ」を生み出す流れ「階段式溢流路」

長い石と短い石が交互に組まれている水すだれ
■ 長い石と短い石が
交互に組まれている水すだれ

「北の誉」と聞いて小樽を思い出す酒好きの方もいるだろう。小樽市中心部の南側を東西に流れる勝納川(かつないがわ)の伏流水を水源とするこの酒蔵の上流に、奥沢水源地水道施設はある。
小樽市の水道の歴史は古く、奥沢水源地水道施設は、1914年9月に、全国で21番目、北海道では3番目の水道として開設された今なお現役の水道施設である。
奥沢水源地水道施設は、貯水池に水を溜めるためのダムが土堰堤のいわゆるアースダムで、貯水池内に1基の取水塔と、貯水池の水位が一定以上になると溢れ出る溢流路(えつりゅうろ)を備えている。この溢流路こそが、練石積みで造られた「階段式溢流路」である。約21mの落差を10段で流れ落ちる水の様子から地元では「水すだれ」と呼ばれ、寒冷地での工事技術と水階段(カスケード)の水の流れの美しさが高く評価されているだけでなく、水道専用ダムの溢流路としては最大級といわれている。
周囲を囲む深い木々の緑は、夏には爽やかな涼感を誘い、秋には紅葉となって湖面に映え、その四季折々の美しさは、訪れる人々にひと時の安らぎを与える景観を醸し出している。奥沢水源施設は1985年に「近代水道百選」にも選ばれている。

【アクセス】
JR函館本線「南小樽駅」よりバスで「天神」にて下車。徒歩約30分。

【地図】
googleマップで(奥沢)階段式溢流路の位置を確認する

「Consultant」246号

さらに詳しくご覧になりた方は、
<<「Consultant」246号 掲載記事へ

掲載記事をご覧になるには
Adobe Reader
が必要です。

   

建設コンサルタンツ協会