日本の土木遺産

玉川上水
滔々と流れる玉川上水
■ 滔々と流れる玉川上水

江戸時代の上水施設「玉川上水」

中流部の樹木が成育し緑陰が深い散策路
■ 桜の名所 羽村堰付近

玉川上水は多摩川の水を羽村(現在の東京都羽村市)で取水し、四谷大木戸(現在の東京都新宿区)までの約43kmを平均勾配約0.2%で結ぶ運河である。四谷大木戸から先は、地下に石や木で作った樋を設置して、江戸城や江戸市中へと水を供給していた。人々は枡や上水の井戸から水を汲み上げて利用していた。
江戸の慢性的な水不足を解消するため、江戸幕府は水源を多摩川に求め、1652年に多摩川から江戸まで上水開削の計画を立案した。後の1791年に書き上げられた『上水記』によれば、武蔵川越藩主で老中の松平伊豆守信綱や町奉行神尾備前守らが検討し、関東郡代伊那忠治らが実地検分のうえ、松平伊豆守が総奉行、神尾備前守が奉行、伊那忠治が水道奉行を任じられた。工事は玉川兄弟が六千両で請負い、工事末期には不足する資金を私財で賄ったとされ、まさに官民連携の一大事業であった。
現在の玉川上水は、上流部は今でも東京都水道局の水道源導水路として活用され、中流部は清流復活事業により高度二次処理下水が流れている。また下流部の一部は、排水路として神田川に合流しほとんどが暗渠化されて、上部空間は公園や遊歩道として利用されている。
多摩地域の小中学校副教材では、玉川上水の責任者として玉川兄弟の名前が挙げられている。そして、桜の名所としても有名な羽村取水堰下公園には玉川兄弟の銅像が設置され、その偉業を現代に伝えている。

【アクセス】
JR青梅線「羽村駅」より徒歩15分。

【地図】
googleマップで玉川上水の位置を確認する

「Consultant」242号

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