日本の土木遺産

白水ダム
新緑と白い水のドレス
■ 新緑と白い水のドレス

日本でもユニークなダム「白水ダム」

緑の苔を纏っているダム堰堤と右岸の武者返し
■ 緑の苔を纏っているダム堰堤と
右岸の武者返し

大分県竹田市次倉にある堰堤87m、高さ14m、貯水量60万tの重力式練石積による白水ダムは、竹田市と緒方町の水田や畑地を潤す用水路の貯水池として1938 年に完成した。もちろんバリバリの現役である。
左岸堰堤は、半円錐形階段状に石を積み上げた構造である。勢い良く流れ落ちてきた水は暫く各階段面に沿って白い筋を刻んで流れ、最後に階段面を白い泡となって流れ落ちるその様は、優雅であり女性的である。一方、右岸堰堤は、曲線的に反返るように石を積み上げた構造で武者返しと呼ばれる。勢い良く流れ落ちてきた水は白い円弧を描き曲面を駆け昇りそして逆流し、他の水とぶつかり合い荒々しく男性的に流れ落ちる。
この芸術的な白い水の流れは、下流の地盤が弱いための水速調整の役を担っている。水の流れを緻密に計算して、この独特の堰堤形状をデザインしたと言われている。ダムとしては小規模であるが、気品の高さを感じる。
「陽光に輝く緑の絨毯」。それが白水ダムを見た第一印象である。これは年1 回の貯水池浚渫のために水抜きをした時に堰堤面に苔が生育して魅せた姿であった。表面に凹凸のある石積みだからこそ壁面いっぱいに生育が可能だったのだろう。まるで、緑の服を着ているようだ。水の流れていない白水ダムも一興である。

【アクセス】
「大分駅」よりJR豊肥本線で約100分「豊後荻駅」下車。車で15分。

【地図】
googleマップで白水ダムの位置を確認する

「土木遺産 日本編」

<<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 日本編」
ダイヤモンド社刊

   

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