日本の土木遺産

院内町の石橋群
石橋の貴婦人と呼ばれる鳥居橋
■ 石橋の貴婦人と呼ばれる鳥居橋

「院内町の石橋群」

たくましい御沓橋
■ たくましい御沓橋

大分県院内町には沢山の石橋があり、その数の多さで日本一の石橋群といわれている。これらは江戸時代から昭和の初期にわたって架けられ、多くが今も使われており、町の生活に溶け込んでいる。院内町という小さな町に、大小合わせて、その数74橋もの石橋がある。院内町には街を南北に分ける恵良川が流れ、そこに流れ込んでいる多くの支流がいくつもの深い谷を形成している。石橋が多いのには谷をはさんで点在した集落を結ぶためと、川が急流で木橋では流されてしまうためという背景がある。
石橋を架けるには、それなりの技術が必要である。石橋の技術は、江戸時代初期に中国の僧によって長崎に伝えられ、以後、九州全域に広まったと伝えられている。院内町には、段々畑の石垣や、水路を造るため、石工の技術があり、「匠の技」があった。
取り分け鳥居橋は5連アーチの石橋で、支間と高さがすべて異なっており、それが逆にリズミカルな心地よさを伝えてくる。天に伸びたすらっとした橋脚から「石橋の貴婦人」と呼ばれている。また御沓(みくつ)橋は、長さが59mと町内で一番長く、周囲の環境と調和した水面に映える3 連アーチのたくましい橋である。この他にも沢山の小さな石橋があり、石橋を見て回っていると、その重厚さにふと中世のヨーロッパの石造りの街と錯覚しそうになる。

【アクセス】
大分駅よりJR日豊本線で「宇佐駅」下車。車で30分。

【地図】
googleマップで院内町の石橋群の位置を確認する

「Consultant」219号

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建設コンサルタンツ協会