日本の土木遺産

三角西港
牛伏川フランス式階段工
■ 対岸の柴尾山と三角西港

明治の近代港湾都市「三角西港」

丸みを帯びた石積埠頭
■ 丸みを帯びた石積埠頭

三角(みすみ)西港は、熊本県中央部より西に突き出た宇土(うと)半島の西端に位置し、北方は三角ノ瀬戸から有明海に、東方はモタレノ瀬戸、南方は蔵々瀬戸(ぞぞせと)を経て不知火(しらぬい)海に通じている。
当初は「三角港」として1887年に開港し、宮城県の野蒜(のびる)港、福井県の三国港とともに明治三大築港と称された。当時の最先端とされたオランダの築港技術を導入するために、明治政府がオランダから招聘した水理工師ローウェンホルスト・ムルドルの一貫した指導のもとで建設された近代港湾である。有明海に臨みながら良港を持たなかった熊本県にとっての悲願の港でもあった。また、オランダ築港技術が日本で成功した唯一の港であり、県下を代表する貿易港として繁栄していった。
貿易港としての繁栄が長く続くことはなく、港湾流通機能が転出していった三角西港はその後しばらくの間、静かな一漁村として活用されてきた。しかしながらこれが幸いし、同港は石積埠頭を始め、築港当時の施設がほぼ原形の状態で現代に残された。開港100周年を機に、三角西港はその存在意義が見直され、開港当時の建造物復元や一帯の公園整備がなされ、観光港として再興された。2005年に石積埠頭と水路が国の重要文化財に指定されている。

【アクセス】
JR三角駅から九州産交バス「赤瀬経由熊本交通センター行き」で5分。「三角西港」下車。

【地図】
googleマップで三角西港の位置を確認する

「Consultant」238号

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