日本の土木遺産

通潤橋
ヒガンバナと通潤橋
■ ヒガンバナと通潤橋

日本で最もユニークな水路石橋「通潤橋」

裾広がりの石垣がみごとな通潤橋
■ 裾広がりの石垣がみごとな通潤橋

熊本県の中部、阿蘇外輪山の南側に位置する上益城郡(かみましきぐん)山都(やまと)町を流れる五老ヶ滝川に架かる石のアーチ橋が「通潤橋」である。
江戸後期の1854年に完成したこの橋は、延長30kmの農業用の疎水である「通潤用水路」の一部で、深い谷を越すために建設された。橋と同時期に造られたこの用水路は、上流約6km先にある笹原川から取水し、今も現役で用水を運び、下流の白糸台地の田畑を潤している。
通潤橋には石管をつないで造られた通水管が3列通っており、川面から高さ約21mに位置する橋の中央部の木栓を抜くと、水が勢いよく噴き出す仕組みとなっている。この放水は他に類を見ない迫力があり、これがこの橋の大きな特徴の一つとなっている。本来の目的は、通水管の内部にたまった泥や砂を除くためのもので、八朔(はっさく)の祭日(旧暦の8月1日)に行うのが慣わしであった。現在では、9月に行われる“秋水落とし祭り”の他、灌漑利用が少ない時期には、観光客用に時間を区切って20分程度の放水を行っている。
橋の石垣は、野外彫刻かと思うほどの優美さがある。側面にはアーチ状に積んだ石組みの模様が表れ、橋台は裾広がりの石組みが美しい曲線を描いている。

【アクセス】
九州自動車道「御船IC」または「松橋IC」より約45分。道の駅「通潤橋」正面。

【地図】
googleマップで通潤橋の位置を確認する

「Consultant」238号

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