世界の土木遺産

フロム鉄道(ノルウェー、ミュールダール〜フロム)
フロム駅で出発の時を待つフィヨルドポニー
■ フロム駅で出発の時を待つフィヨルドポニー

峡谷を駆け上がるフィヨルドポニー「フロム鉄道」

フロム鉄道の車内
■ フロム鉄道の車内

フィヨルド渓谷で有名なノルウェー。フロム鉄道は、国内最大の渓谷「ソグネフィヨルド」から分岐した「アウルランフィヨルド」の最奥の港町“フロム”から山岳の町“ミュールダール”までの標高差864m、延長20.2kmを結ぶ山岳鉄道である。標高差が激しく厳冬の渓谷を通過するために、螺旋形状のループトンネルを採用し、川へ橋を架けずに鉄道の下へ水路トンネルを造って川を付け替えるなど、独特な工夫が凝らされている。
レール幅1,435mmの標準軌で敷設された55‰の勾配は北欧では最も急勾配であり、全長の約8割を占める。また全長の3割近くを占める20箇所のトンネルのほとんどは手掘りで施工された。さらに動力は計画当初より電気機関車とし、その電力は落差の大きな渓谷を利用した水力で賄うものとした。しかし建設途中に勃発した第二次世界大戦によって工事は中断され、侵攻したドイツ軍によって1940年、資材運搬用の鉄道として蒸気機関車で暫定運行された。終戦後の1944年、沿線の途中にある落差238mのショースフォッセン滝に水力発電所が建設され、ようやく計画通りの完全電化による旅客鉄道としての運行が始まった。
フロム鉄道はガイドブックで最も素晴しい山岳鉄道の一つとして紹介され、年間58万人が訪れる観光スポットとなった。ノルウェーの雄大な渓谷の断崖絶壁を沿って走るその車窓からの眺めはまさにスペクタルである。

【アクセス】
「オスロ中央駅」からベンゲル急行で約5時間の「ミュールダール駅」へ。
フロム鉄道に乗り換え約1時間で「フロム駅」下車。

【地図】
googleマップでフロム鉄道の位置を確認する

「Consultant」246号

さらに詳しくご覧になりた方は、
<<「Consultant」246号 掲載記事へ

掲載記事をご覧になるには
Adobe Reader
が必要です。

   

建設コンサルタンツ協会