世界の土木遺産

ランテ荘(イタリア、バニャイア)
「左右対称に配置された庭園
■ 「左右対称に配置された庭園

幾何学的庭園に隠された遊び心「ランテ荘の庭園」

ランテ荘庭園とバニャイアの町並み
■ ランテ荘庭園とバニャイアの町並み

ランテ荘は、イタリア・ローマの北90kmに位置する都市ヴィテルボの郊外にあった廃墟を利用して作られたヴィラの一つである。ヴィラは、当時狩りのために建てられた小屋から発達した貴族の別荘である。ランテ荘もまた当時の司教たちが利用する、狩場の雨宿り小屋として建設された。当時この地区を統治していたガンバーラ枢機卿が当時多くの庭園を設計したヴィニョーラに託して1560年代後半から約20年の歳月をかけて完成させた。
現在のランテ荘は、イタリア式庭園と2棟の別荘からなり、建物及び庭園は正門を軸に左右対称で構成されている。正門から見ると全体が“舞台”、左右の建物が“楽屋”として捉えることも出来る。建物最上階からは今も古都の風情を残すローマ郊外のバニャイアの町並みが一望出来る。
イタリア式庭園を有する他のヴィラ(ローマ郊外のエステ荘など)とランテ荘との違いは、ランテ荘が地形の改変を極力抑え、有効に活用していることにある。山腹の斜面を巧みに使い、上段のテラス園から中段を経て、最下段に一辺が50m四方の主庭園が配置されている。庭園には草花が一切なく、樹木だけで構成されている。また庭園には、他のヴィラの庭園にみられないものの一つとして、当時のままに保存されたトーピアリ(幾何学的な植栽刈り込み)が挙げられ、建設当初からのデザインが今も残されている。

【アクセス】
列車でローマ「サン・ピエトロ駅」より約100分。「ポルタ・ロマーナ駅」下車。東へ約5km、バス10分でバニャイア。

【地図】
googleマップでランテ荘の位置を確認する

「Consultant」222号

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「土木遺産 ヨーロッパ編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 ヨーロッパ編」
ダイヤモンド社刊

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