世界の土木遺産

キンデルダイクの干拓と風車(オランダ、キンデルダイク)
キンデルダイクの干拓地
■ キンデルダイクの干拓地

おだやかな風が水路と牧草地をやさしく吹き抜ける「キンデルダイクの干拓と風車」

広く青く澄んだ空に風を感じるキンデルダイクの風車群
■ 広く青く澄んだ空に風を感じる
キンデルダイクの風車群

オランダのロッテルダムを流れるニューマース川の上流約15km のレク川とノールド川の合流点に、キンデルダイクという小さな風車の町がある。この地名の由来にはいくつかあるが、1421年に起きたエリザベス大洪水で小さなゆりかごが流れ着いたことから、キンデルダイク(子供の堤防)と名付けられたというのが興味深い。
この国の風車の歴史は干拓の歴史である。オランダの干拓地は、10世紀頃にはじまる。かつてオランダは国土の大部分が厚い軟弱な泥炭層に覆われた海水面より1〜2mほど標高が高い湿地帯であった。人々はこの泥炭層に覆われた湿原の周囲に堤防を作り、水路をつくって土壌の排水を行い、農地としての利用を始めた。やがて地盤は圧密沈下をおこして海水面以下となり、それまでの自然流下による排水が困難となった。そこで排水ポンプの動力として使われたのが多くの風車群である。
最盛期の19世紀には約1000基の風車が活躍していた。現在はそのうちの19基が残っており、現在は主に観光用として土曜、祝祭日に運転している。
かつて水との戦いのために作られた風車群と青く映える運河は、今の我々におとぎの国へ来たような錯覚を覚えさせてくれる。これらの風車やポンプ場および水路や干拓地は、1997年にユネスコ世界遺産として登録されている。

【アクセス】
ロッテルダム中央駅からは直通列車で6分。ロンバルダイン駅前からよりユトレヒト行き90番バスに乗り、約40分、停留所Molenkadeで下車。

【地図】
googleマップでキンデルダイクの干拓と風車の位置を確認する

「Consultant」218号

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「土木遺産 ヨーロッパ編」 <<コチラにも掲載されています。
「土木遺産 ヨーロッパ編」
ダイヤモンド社刊

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