| サン・マルタン運河は、フランス・パリ市内のセーヌ川とウルク運河、サン・ドニ運河をつなぐ総延長4.5km 
                の運河であり1825年に完成した。ヨーロッパでは舟運が本格化する14世紀頃より、水位差のある川と川をつなぐために様々な工夫がなされてきた。セーヌ川とサン・マルタン運河の水位差は26mあり、ここでは9個の閘門が設けられている。閘門は2連と単独のものがあり、1 閘門でそれぞれ約3mの水位調整を行っている。閘門の大きさは幅8m、長さ40m 
                程度で9 個の閘門全てが観音開き(マイターゲート)である。ゲートには左右双方に上段、中断、下段の3カ所に注水孔が設けられている。
 サン・マルタン運河は4割がトンネル化した「地下運河(1853m)」であるが、開水面の個所では街路と建物が接近し、かつ人々の視点と水面との比高差が少ない点で、市民の身近な水辺といった趣がある。映画『北ホテル』で舞台となったのも、連続して植えられたマロニエやプラタナス、菩提樹といった樹木のほか、古い町並み、アーチの歩道橋、水位調節の閘門といった歴史的な施設によって独特な情緒のある空間がつくり出されているからに他ならない。木々の緑に囲まれた運河は、美しい都市景観を作り、車輸送がもたらす大気汚染の防止など地域環境面でも貢献している。
 【アクセス】地下鉄レピュブリック駅下車すぐ。
 【地図】googleマップでサン・マルタン運河の位置を確認する
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