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特集超高齢社会?岩手三陸を舞台に?2東日本大震災からの復興における高齢社会への対応小野田泰明ONODA Yasuaki東北大学大学院工学研究科/都市・建築学専攻/教授復興過程で顕在化する、高齢者の環境移行に伴うストレス増加やコミュニティの希薄化。元気な高齢社会を実現していくためにはコミュニティ形成を支援する環境づくりが重要となる。復興公営住宅整備などの住まいに関わる建築家の視点から、新たな取り組みが進められている。三陸海岸の高齢者現在、東日本大震災で被災したいくつかの自治体において復興作業に携わっているが、その過程で会ういわゆる高齢者と呼ばれる方たちは、元気で、時に創造的な人々である。特に今回の被害が大きかった三陸海岸沿岸部は、発災前から人口減少とそれに伴う高齢化に苦しめられてきた地域で、60歳代前半は、まだまだ若手という漁業集落も多い。浜毎に、生計を立てる漁のタイプが異なるため一概に言うことは出来ないが、漁師の仕事は、複雑な気象や生態系を相手に船や機械を操るためにメカにも強く、どこの港で上げるかといった目利きも重要となるので商売人としての要素も必要となる。つまり、サイエンス、エンジニアリング、そして市場などに対するリテラシーを持ったたくましい経営者たちなのだ。若干せっかちすぎるきらいはあるものの、都会の高齢者とはその佇まいが全く異っている。しかしながら、彼らが若く、賢くあれるのは、生活なりわいと業が一体となった環境があるためでもある。今回の復興事業に伴って設定される居住が許されない災害危険区域とその代わりとなる高台移転によって、生活の場と業の場が離れてしまう状況の中、どのような再統合が可能なのか。被災地域が直面したのは、まずこの課題である。建築家による復興支援そうした問題意識に則って、浜の復興を支援する試みが発災の初期に行われている。ボランタリーな建築家の集まりである「東日本大震災からの復興を支援する建築家ネットワーク:アーキエイド」や建築家の職能集団である日本建築家協会東北支部などによる、浜の人々に対する丁寧な聞き取りに基づいた復興計画の支援である。特に前者は、宮城県石巻市において、15大学から桃生南三陸北上北上川河口部上川河口部JIA東北で支援DAY 1Fieldwork現地調査DAY 2Hearing意見収集東松島河南河北女川石巻中心街雄勝牡鹿雄勝半島雄勝スタジオ(アーキエイド)で支援牡鹿半島牡鹿半島支援勉強会(アーキエイド)で支援DAY 3 DAY 4Draw a PLAN復興計画作成Presentation at Village各集落での発表図1最も被害の大きかった自治体の一つ石巻市図2アーキエイドによる半島支援(2011.7)010Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014