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特集超高齢社会?岩手三陸を舞台に?3ICTを活用した孤立防止と生活支援型コミュニティづくり小川晃子OGAWA Akiko岩手県立大学社会福祉学部/教授緊急時の通報システムだけではなく、平常時に元気なことを能動的に発信してもらう「おげんき発信」。岩手県立大学では、10年以上も前からICTを活用した高齢者の見守り体制づくりを進めてきており、被災地においても様々な成果を上げている。社会的孤立の問題と対処高齢化の進展や地域のつながりの希薄化に伴い、高齢者や中高年男性の社会的孤立への対応が社会的な課題となっている。孤立は孤独という生活形態につながせきりょうり、孤独は寂寥感という心理的状態に影響を及ぼし、様々な問題を引き起こす。突然死や自殺のリスクも高くなり、死後数日を経て遺体が発見されるという孤立死につながる危険性も高くなる。岩手県は過疎化や高齢化が進展しており、以前からこの問題が顕在化している地域であったが、東日本大震災後はこの問題がより一層深刻化している。県内の民生委員や町内会などの組織も未だ十分に復旧しておらず、地域の相互扶助力の低下が異変把握を困難にしている。こうした状況においては、人による見守り体制づくりに加えて、ICT(情報通信技術)を活用した異変把握の有効性が高い。おげんき発信の取り組み岩手県立大学では“おげんき”発信という電話機を用いた高齢者の安否確認システムを開発し、この10年間地域と連携して運用してきた。これは、緊急通報システムが異常を能動的に発信するのに対し、「今日も元気!」と平常を能動的に通報する仕組みである(図1)。このシステムは平成10年度の「第1次おげんき発信」に始まり、数次にわたり改良してきた(図2)。第1次おげんき発信は、川井村(現在の宮古市川井)の社会福祉協議会と連携し、インターネットに接続しているタッチパネル方式のLモード電話機を使い、開発・運用したものである。高齢者が能動的に発信をすることで、見守られる遠慮感を払拭し、有用感をもつ効果を能動的緊急通報おげんき発信システム消費・人感火災報知器センサー受動的H1 H15 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26緊急通報システム「福祉安心電話」青森県社協「新型福祉安心電話」一体化第1次“おげんき”発信Lモード川井村社協集合住宅高齢者生活支援システム青森県産業技術センター安全安心支援サービスモデル事業青森県新産業創造課青森県社協事業化第2次“おげんき”発信家庭用電話機岩手県社協・青森県社協第3次“おげんき”発信「ICTを活用した生活支援型コミュティづくり」滝沢・川井・盛岡(松園・桜城)第4次「被災地におけ第5次るICTを活用した生活「岩手県におけるI支援型コミュティづくり」CT活用孤立防止釜石・大槌・宮古・野田等とコミュティづくり」連絡員タブレットスマフォ見守りテレビ見守りドコモ・釜石ドコモ・滝沢シャープ飯館村緊急一体型支援名取市仮設住宅支援福島県広域避難支援図1 ICTを活用した安否確認システムの位置づけ図2 ICTを活用した孤立防止とコミュニティづくり実証研究の流れ014Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014