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概要

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明らかにしてきた。第2次以降、システムの改良を続け、第3次おげんき発信では、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究開発支援を受け、「おげんき発信」のみならず、緊急通報システムやセンサーなどのICTを活用した安否確認システムの情報を、地域福祉ネットワークの中で共有してきた。それとともに、コミュニティの資源に応じたみまもりセンター(サブセンター)を構築し、「げんき、少しげんき、悪い」の状況報告、「話したい」の相談受け入れに加え、「頼みたい」を発信できるようにした。こうしたコミュニティのなかでの生活支援の関係を構築する実証実験を4つのフィールドで行うに至った(図3)。これらの取り組みは、形を変えながら継続している。例えば滝沢市では、地元のスーパーマイヤからヤマト運輸が「まごころ宅急便」として配達し、その際の見守り情報を社会福祉協議会に連絡する仕組みが事業化している(図4)。また、岩手県立大学のプロジェクト室がみまもりセンターを担うとともに、地域で高齢者支援連絡会を立ち上げ、学生ボランティアによる雪かきや見守り、コンビニエンスストアによる買い物支援、介護事業者による配食や介護タクシーなどのサービスを連携しながら取り組みを進めている(図5)。生活支援に対応できる地域の互助機能の組織化支援機関・団体医療機関・社会福祉機関・団体精神保健福祉センターいのちの電話・傾聴ボランティア買い物代行送迎ボランティア等々民生委員隣人民間事業者見守り情報発信・共有支援等対応調整みまもりセンター市町村社協休日・夜間センター包括支援センター・福祉施設・医療機関訪問型サービス提供企業・組織高齢者団体(シニアネット・職場OB会)集合住宅・町内会学生ボランティアセンター図3第3次おげんき発信の概要2発注滝沢市社会福祉協議会※「買い過ぎ」「発注忘れ」への対応ができる報認と高齢者生活情報対応生活情報の発信安否身体状況心理状況生活支援依頼買い物配食外出支援等「生活支援システム」開発・実証実験・仮説検証・評価おげんき発信独居高齢者等きがかりな人救急・身体異変対応地域における生活支不安・うつ等対応生活支援援により独居の継続買い物代行・外出先での発信買い物ポイントカード等配食・外出支援等居宅からの発信認知レベル・身体状況に応じた使い分け能動型発信=自立支援自動発信1.げんき2.すこしげんき3.わるい4.話したい緊急通報緊急ボタン相談ボタン外出行動あり外出行動なし生活行動センサー人感センサー生活行動あり生活行動なし図4 ?第3次おげんき発信における滝沢市の安否確認と買い物支援策「まごころ宅急便」の一体的取り組み別居親族見守り情報発信・共有学際的な研究体制・職際的な検討体制(岩手県立大学・行政・社会福祉協議会・民生委員・企業等)5見守り報告地元スーパー(㈱マイヤ滝沢店)3集荷まごころ宅急便毎朝の「おげんき発信」で見守り1注文4配達しながら安否確認現金受け取り高齢者1.げんき2.少しげんき3.わるい4.話したいおげんき発信5.頼みたい※PJ新設被災地における孤立防止と生活支援型コミュニティづくり東日本大震災の発災は、第3次おげんき発信の取り組みを開始して半年を経た時点であった。阪神淡路大震災後に、仮設住宅や災害復興住宅において孤立死や自殺の防止や、新たなコミュニティづくりが社会的な課題となったことを踏まえると、第3次おげんき発信の取り組みで開発している社会技術が、被災地の支援に役立つと考え、第4次おげんき発信として復興研究に取り組むことにした。まず取り組んだのは、フィールドでの受け入れ体制の構築であった。壊滅的な被災を受けた地域は、その性格上、外部支援に対するニーズの表明が難しい。復旧段階においては外部支援者がもつ資源を最大限に活用するしかないが、復興段階の支援においてはできうる限り被災地のニーズを把握し、見守り買い物支援バスアパート雪かき相談・生活支援たき滝沢駅前安心・安全の会(アパート経営者・商店・医師等が「学生が安全で安心して暮らせる地域をつくる」活動)交流(Do鍋ネット)見守り拠点設置岩手県立大学生見守り(チャリパト隊)ボランティアセンター連携雪かき岩手県立大大学見守りプロジェクト室(見守りセンター・川前地区高齢者支援連絡会事務局)自治会民生児童委員見守り・支援「おげんき発信」見守り高齢者ローソン滝沢駅前店買い物支援(配達・送迎)図5 ?第3次おげんき発信における滝沢市川前地区高齢者支援連絡会の取り組み介護事業者配食・介護タクシー1.げんき2.少しげんき3.わるい4.話したい5.頼みたい被災地に残されている資源を活かすことで、被災地や被災者が自らの生活の調整と改善を図る力をつけられるようなエンパワメントの視点が重要である。本研究にCivil Engineering Consultant VOL.263 April 2014015