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表1第4次おげんき発信「被災地におけるICTを活用した生活支援型コミュニティづくり」フィールド概要フィールドみまもりセンター利用者数注)導入時期野田村野田村社会福祉協議会・青森県社会福祉協議会1523年7月(15)宮古市田老宮古市国民健康保険診療所田老診療所(平成24年2月まで)623年9月岩手県立大学プロジェクト室(平成24年3月以降)(6)大槌町和野サポートセンター和野っこハウス(社会福祉法人大槌町社会福祉協議会受託)524年1月(10)釜石市鵜住居鵜住居地区サポートセンター(社会福祉法人愛恵会受託)1123年9月(25)盛岡市(検討中)0検討中注)おげんき発信利用者数。上段は取り組み開始段階の利用者数、下段は平成24年度末までの最大利用者数図6 ?第4次おげんき発信鵜住居地区サポートセンターおいては、そのような観点から、これまでの関わりがある地域の中からプロジェクトの受け入れニーズがあるフィールドを探し、フィールドとの信頼関係を構築しつつ、そのフィールドのもつ資源を活用した見守り体制の構築を行ってきた(表1)。うのすまいフィールドの一つである釜石市鵜住居地区の被害状況は釜石市の中でも際立って大きい。人口6,630人(平成23年11月現在)のうち、死亡・行方不明が583人、全半壊が1,751戸であった。ここでは平成3年から「うらら」という日本初の商用化在宅健康管理システムが稼働していた。これに取り組んでいた盛岡赤十字病院の鎌田弘之医師とともに釜石市医師会で福祉・医療が連携した見守りの必要性と支援について説明を行った。それを聞いた社会福祉法人愛恵会は、運営を受託していた鵜住居地区サポートセンター(図6)をみまもりセンターとした。このサポートセンターは毎日8時から20時まで社会福祉士が常駐しており、専門性や確実性が高い運用体制をとることができた。また、受信者課金(フリーダイヤル)のおげんき発信システムを、青森県社会福祉協議会に協力を依頼し、この地区において利用できるようにした。次に血圧測定システムを導入した。仮設住宅では被災によるストレスから、血圧が高くなるなど健康を害す人が増加していることと、このフィールド構築の当初から「うらら」が果たしていた血圧伝送の仕組みを求めるニーズがあったことからである。そこで、盛岡市立病院神経内科長の佐々木一裕医師と連携し、約20台の血圧計を配布し、測定値を携帯電話回線で送信している。このデータは、岩手医科大学神経内科や盛岡市立病院の医師が閲覧してコメントを入れ、それをサポートセンター職員が印刷し、住民に届ける形で運用している。また、利用者のかかりつけ医も利用者の血圧データを閲覧できる。さらに、電力中央研究所の協力を得て、電力の使用状況から生活行動の有無と異変を判断するセンサーを導入した。分電盤の下に「緑のボタン」を付けて、ワンプッシュで「おげんき発信」ができるようにした。このセンサーとおげんき発信一体型は、認知症や難聴・弱視など通常の電話機によるおげんき発信の利用が困難な住民6名に導入している(図7)。平成24年度には、釜石市が委託したNPO法人アットマークリアスNPOサポートセンターの鵜住居地区での「みまわり」活動と連携するため、NTTドコモ株式会社との共同研究により、タブレットを活用して安否情報を連絡員が全市域で共有できるようにした。さらに、鵜住居地区においては、サポートセンターが把握したおげんき発信と血圧測定による安否情報を共有できるようにした。このように鵜住居では、高齢者が能動的・受動的に発信する安否確認システムを心身の状況によって使い分け、サポートセンターがそれを見守るとともに、連絡員という他者が確認した安否情報とも共有を図り、安否確認の確実性を高める体制が構築できた(図8)。この復興研究では岩手県立大学のプロジェクトが開発してきた社会技術を活用し、「おげんき発信」と緊急016Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014