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写真3 ?ライブ販売の様子あの日から被災後は自らも資産の大半を失う中、一刻も早く絶望に包まれた漁業現場に灯火を燈すためにと、1ヶ月後の4月11日には操業を再開。独自に漁具や製氷機を確保し、みなで支えあい、励ましあいながら、地域漁業の早急な生産回復を目指して、操業環境の建て直しに奔走しています。どの様な形で漁業を再立ち上げすれば、未来につながるのか。ひたすら魚を獲ることにのみに注力していた被災前の産業形態から、継続性ある漁業形態へと建て直しを図るため、管理型漁業の先導的モデルでもある静岡県由比港漁協と、大型バスで何度もお互いに行き来をしながら勉強会を重ね、漁業者の意識改革を積極的に行うなど、被災を機に、漁業を根底から強くする取組を継続しています。海に目を移せば、多くを奪い去ったこの大津波が、次の時代に繋がる大きな資産を残して行ってくれた事に気付かされました。長年の養殖で疲弊していた海は、何度も押し寄せた大津波で海底が洗われ、穏やかな砂地に変わっていました。採算が取れずに苛烈な自転車操業をせざるをえなかった生産現場には、ゆっくりと未来を考える時間も与えてくれました。カキやホタテは、津波前の倍の速度で成長が進んでおり、短期間に高品質の商品が作られる環境も整えられていました。そして何よりも、被災前の比にならないほどに、仲間を大切に思い、太い絆を育て、透き通るほどに綺麗な想いで人に尽くすことの喜びをかみ締める力を授かりました。大きく息を吹き返した海を前に、今までの様なただ単に魚を獲り尽くす産業形態から、その恵みをひとつひとつ大切にする仕組みへと、産地が時代に即した形で生まれ変わる事が求められています。この場所で夢あふれる漁業を創生するために、先導的モデルを継続的に生み出し続ける新しい取組が、今、ここから、この組合を先頭に始まっています。地域資源と消費ニーズのマッチング世界三大漁場「三陸」という格好の漁場を目前に有しながら、当地の水産業は被災前より、世界中から流入する安価な魚介類や加工度の高い手軽な食品に市場を席巻され、後継者を育てる余裕も無きまま、年々衰退の一途を辿る危機的状況に晒されていました。写真4?船おろし写真5 ?津波1ヵ月後に再開した漁Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014023