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源の潜在力を生かした地方活性化モデルが「食」を中心に育成できるのではないかと期待しています。写真6 ?観光対応型番屋の再建この様な定住再生産の難しい産業しかなかったこの場所は、過去から引き継いだ資産を切り売りしながら再び訪れるやもしれない大漁を夢見て、何とか食い凌いできた状態にありました。しかし、東日本大震災で壊滅的なまでに生産基盤を失った今日においては、雇用創出や地域創生の観点からも、これまでの様な博打的産業形態から地域の特質を生かした新しい食産業モデルへ、その変革が求められています。大船渡市の推計人口は38,865人(2013年3月1日現在)で、被災前よりも1,714人減っています。漁業者の平均年齢は70代手前であり、北里大学の学部移転によって関連産業も喪失しました。その様な状況の中、旧来の漁業モデルだけでは復興へのモチベーションも維持できない漁業生産現場を、未来につながる持続可能な形としてどのように立ち上げ直すかを模索していました。そのうち、漁業に求められるニーズが高度経済成長以降大きくその姿を変え、エネルギー源としての魚介供給から、作り手の人格や地域食文化を大切にしたコミュニケーション型の食産業、言い換えれば娯楽要素の高い語れる食への欲求が高まっていることに改めて気付かされました。地域復興計画を立てる中で、世界三大漁場と呼ばれるまでに豊かであったこの地の資源(漁業資源や培われた食文化、風土景観など)を改めて棚卸しすると、やり方によってはこの様な消費ニーズとのミスマッチがうまく解消されるのみならず、消費者の購買意欲を十分すぎるほどに掻き立てる、この地の資写真7 ?郷土料理あわびのカレーその先の漁業へ世界三大漁場と謳われる程に海の幸に恵まれたこの地域は、季節ごとに移ろい変わる多種多様の魚介に溢れ、市場を大いに賑わせてきました。被災により、漁業の復旧までもが危険視されている状況を打開するためにも、これまで「価値」だと地元が認識することの無かった「世界三大漁場の漁師料理」という、絶対的優位にある食文化に焦点を当て、「水産加工業」ではない「台所事業」を育てる事により、地域ブランドの核を育てることに挑んでいます。食に関わる業種による加工販売協業体制の創出復興を確実なものとするために、最新の冷凍方法であるCAS(Cell Alive System)技術を活用して、出来立ての瞬間を封じ込めた郷土料理や漁師料理を惣菜に個食化して冷凍供給するビジネスモデル「台所産業」の確立を目指しています。それと共に、未利用資源を原料とするオーダーメイド型宴会向け食材の開発などを通して、漁業者収益の改善ならびに地域雇用の創出が期待できる、地域内「食」連携加工販売協業体制(地域内多業種水平連携)の樹立を目指します。解凍時にドリップ(水分)が出にくく、凍結変性を起こしにくいCAS技術と、浜が長年培ってきた郷土食・漁師料理文化が、地域農林水産資源と融合する事により、消費ニーズに応えながら、調理凍結済みなので廃棄ロスも防げる、収益性の高い食産業モデルの確立が期待されます。ICT活用事業の進化と交流事業の推進沖での水揚げや調理風景をインターネットでライブ配信することや、双方向通信環境を整備する事により、産地の見える化と消費ニーズの顕在化、更には産地での写真8 ?郷土料理うにの炊き込みご飯024Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014