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図5これまでの総流下仔魚数の推定イメージこの時、流下仔魚量は様々な要因を受け、ピークを境に前後して同じ量になることはありません。この流下量の偏りを考慮した分布が歪正規分布です。図6にそのイメージを示します。流下のピークは流下期間の後半に位置していますが、流下量の偏りを考慮して曲線が流下期間の後期に膨らんだ形となっています。また、従来の方法に比べて流下期間の始めと終わりも低い値で始まり終わっています。この歪正規分布を各調査日の単位時間当たりの流下仔魚量に沿わせ、その曲線と時間軸で囲まれた面積を今回の調査では総流下仔魚数としました。図6歪正規分布による総流下仔魚数の推定イメージ流量」を掛けることで「単位時間当角(台形)の面積を合算することでたりの流下仔魚数」としました。さ総流下仔魚数としていました。このらに、24時間調査の結果をもとに方法では、図5を見て分かるように、時間帯による仔魚の流下量の重みアユ仔魚流下期間の始めと終わり付けも合せて行いました。この結果が極端に高い値で始まり終わるこを「アユ仔魚が流下する時期(時ととなります。本来、アユ仔魚は徐々間)」へと引き伸ばし、その年のアユに流下量が増え、徐々に減少するたの総流下仔魚数として推定します。め、従来の推定方法では実際のア最後の流下時期への引き伸ばしユ仔魚の流下状況を十分に再現出ですが、これまでの流下仔魚調査で来ているとは言えませんでした。よく行われていた方法は、図5に示この課題に対し、今回の調査ですように、各調査日を基準に各調査は歪正規分布を用いて推定を行い日の単位時間当たりの流下仔魚量ました。流下仔魚は、流下を始めてを仔魚流下期間へと割り当て、各四からピークを迎えた後、減少します。■おわりに今回、ADCPによる詳細な流量測定、歪正規分布を用いた総流下仔魚数推定を行った新たな流下仔魚調査方法を実施しました。従来の調査方法に比べ、より精度の高いアユ総流下仔魚数が推定できたと考えますが、今回の調査を通してさらなる課題も見えてきました。今回用いたADCPによる流速の計測は、川底と水面の境界層の流速を感知できない性質があります。また、ADCP本体から近い水面付近も、超音波の性質から上手く流速を感知できません。このような僅かながら存在する未計測エリアの流速の計測を可能とし、流量へと反映させる必要があります。また、翌年の稚魚放流量の決定など、資源管理のためにはまだ誤差が大きく、調査実施頻度を上げるなど、アユ総流下仔魚数の推定精度を向上させる必要があると考えています。今後はこのような課題を効率よい方法で解決できるよう、さらなる努力を重ねたいと思います。Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014035