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は、地震発生地盤が均質な弾性体であると仮定し、地震断層運動に伴う変位分布を計算する「Mansinha・Smylie(1971)」の方法や、「Okada(1985)」による弾性波理論に基づいて行われている。津波シミュレーションに使用される地形・水深データは、内閣府の中央防災会議や各自治体によって作成されているものを使用することが多いが、最近では詳細な地形データを必要とすることが多く、LP(航空レーザ測量)データ等を活用し、2m程度の地形・水深データを作成することもある。こうした津波シミュレーションによる検討フローをまとめると図1のように示すことができる。一般に、津波シミュレーションではモデルの信頼性を確認するため、再現性の検証が行われる。文献やデータベースとして整理されている痕跡値を参照することになり、例えば、歴史的な津波であれば『日本被害津波総覧[第2版]』(渡辺偉夫著)や、「津波痕跡データベース」(東北大学大学院災害制御研究センター)等が広く利用されている。■東北地方太平洋沖地震津波の■再現津波シミュレーションによる再現計算の一例として、東北地方太平洋沖地震津波による、福島県から岩手県の沿岸の津波を再現した結果を図2に示す。シミュレーションによる時系列の水位変動は、NOWPHAS(全国港湾海洋波浪情報網)によるGPS波浪計による福島県沖、宮城北部沖、宮城中部沖、仙台新港、岩手中部沖および岩手南部沖における観測潮位との比較を行った。その結果、津波シミュレーションのうち、福島沖から仙台新港については、全体的な水位変動の傾向、ピークへの立ち上がり、最大値の大きさとも良好に一致している。一方、岩手中部沖および岩手南部沖では、最大値および位相ともにややずれている。しかしながら、この2地点でのシミュレーションでの水位変動は「河合ら(2011)」が示しているように、ピークに達する前の小さな峰を伴う穏やかな上昇と、その後の急激な水位の上昇が再現されており、変化の傾向は十分に再現されていると判断した。■防災緑地の計画東北地方の沿岸域では、海岸堤防の復旧にあわせて、防災緑地の計画が行われている。例えば、ある自治体では、津波の減衰と漂流物の捕捉に対して一体となって効果を発揮させることを目的として、海岸堤防と組み合わせた防災緑地の計水位(m)1050?51050?51050?51050?51050?51050?5計算値観測値福島県沖宮城北部沖宮城中部沖仙台新港岩手中部沖岩手南部沖0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 time(m)0 0.5 1 1.5time(h)NOWPHAS波浪観測位置図2津波シミュレーションによる東北地方太平洋沖地震津波の再現Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014037