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写真5?ダウラット・アバード・カナートの砂漠地帯にある公共の水汲み場写真6?豊富な水が流れるダウラット・アバード・カナートの横坑写真7 ?メフリ郊外のパハラヴァンプール庭園を流れるカナートの水写真8?アミール・チャグマーグの地下貯水槽に降りる階段写真9?1960年まで使われていたアミール・チャグマーグの地下貯水槽に繋がる蛇口写真10?ヤズド北部のメイボドにあるヤフチャールと呼ばれる氷室ヤズドには「ヤズド水博物館」がある。その建物は120年ほど前に建てられた古い商館であったが、これをヤズド水組合が買い上げて博物館にした。博物館の下にはカナートが通っており、地下約10m地点に水汲み場が設けられている。ヤズド水博物館では、カナートを含むイランの伝統的な水利技術について、外国人にも解りやすく模型やパネルで展示している。イスラームの礼拝が毎週行われるヤズドの金曜モスクには、カナートから供給される水が地下に引き込まれている。イスラーム教徒は礼拝を行う前の体を清めるときにこの水を使う。中庭には地下の水場に降りる階段が設けられている。ヤズドではモスクに限らず、ハマーム(公衆浴場)や学校など、水を多く使う施設がカナートと直接結ばれているケースが少なくない。■カナートの技術と職人カナートを掘り、これを維持するには高度な技術を必要とする。カナートの技術は、第一に地中の水を的確に把握することであり、さらに水準測量や平面測量により、落盤しやすい砂質の土の中を人が一人入れるかどうかの狭いトンネルを掘り進む。こうしたカナートの建設や維持は、多くの場合モカンニーと呼ばれる専門の職人によってなされ、その技術は親から子へと伝承される。モカンニーの多くはヤズドに集まっている。カナートは横坑が崩落した際の復旧や、坑の底を掘り下げて水を流れやすくするなどのメンテナンスが必要である。イラン国内はもとより、国外でもヤズドのモカンニーがその任にあたることが少なくない。■蒸発を防ぐ貯水槽の工夫ヤズドは、水や風を利用した様々な環境技術でも知られる。カナートが主な水源として利用されたヤズドでは、市内の各所にアーブ・アンバールと呼ばれる屋内の貯水槽が設けられている。これは、水需要が下がる夜間などにカナートを流れる水を無駄にしないよう貯えるものである。アーブ・アンバールは地上あるいは地下に造られる。水の蒸発を防ぐため、日干し煉瓦の丸いドーム状の天井を貯水槽の上に架けたものが多い。また、ヤズドではバードギールと呼ばれる煙突のような風取りの塔が立っているものが多くみられる。これは上空の涼風を取り込んで、貯水槽や家屋を冷やす仕組みである。アーブ・アンバールの中には、貯水槽全体が地下に埋設されたものもある。ヤズド市内のアミール・チャグマーグと呼ばれる大きな建物は、寺院やバザールを複合したヤズドのシンボル的な施設である。1429年に建てられた建物の地下には、天井までがすっぽりと地下に収まるように貯水槽が046Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014