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特集超高齢社会?岩手三陸を舞台に?1震災復興になぜ医療・介護システムが重要か?都市部と被災地での経験からの提案?後藤純GOTO Jun東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員辻哲夫TSUJI Tetsuo東京大学高齢社会総合研究機構特任教授世界的に最も高齢化が進んでいる日本。なかでも岩手三陸沿岸部は、震災前から高い傾向にあった高齢化が震災によって加速したと指摘されている。釜石市などでは、在宅医療を含む地域包括ケアシステムを通して、高齢者が安心して暮らせるまちづくりが進められている。後期高齢者の急増わが国の高齢化は世界で最も進んでおり、2012年現在、65歳以上の高齢者は3,000万人を超え、高齢化率は24%と4人に1人が高齢者である。今後、2030年には31%、2050年には39%まで上昇していくと、国立社会保障・人口問題研究所は推計する。この高齢化の急速な進展の中で、特徴的な点は、75歳以上の後期高齢者が急増することである。75歳以上の後期高齢者は虚弱化した人の割合が高まるグループで、そのような後期高齢者の割合が高まることから、医療を提供する形も変わってくるといえる(図1)。図1人口ピラミッドの変化在宅医療を含む地域包括ケアシステムの構築に向けて国は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目途として、「地域包括ケア」という政策を打ち出している。その定義は「住まい、医療、介護、予防、生活支援が、要介護者等に包括的かつ継続的に提供されること」である。この考え方は地域の日常生活圏域を基本として、「できる限り自立ができ、弱っても誰もが安心して住み慣れた地域に住み続けられることができるようなまちづく人口ピラミッドの変化~平成24年中位推計~2012年(実績) 2030年2055年5.4万総人口1億2,749万人25.3万総人口1億1,661万人65.7万総人口9,193万人75歳~1,522(12%)75歳~2,278(19%)75歳~2,401(26%)65~74歳1,560(12%)65~74歳1,406(12%)65~74歳1,224(13%)18~64歳7,657(60%)~17歳2,008(16%)18~64歳6,483(56%) 18~64歳4,506(49%)~17歳1,492(13%)2013年~生まれ~17歳1,061(12%)2013年~生まれ注:2012年は国勢調査結果。総人口には年齢不詳人口を含むため、年齢階級別人口の合計と一致しない。2030・2055年は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果り」ということに帰着し、「Aging in Place(住み慣れた地域で豊かに老いる社会)」の実現と同趣旨といえる。特に喫緊の対応が求められるのは、虚弱化が進み医療・介護を必要とする高齢者のために、24時間対応できる在宅医療・在宅ケアシステムを整備することである(図2)。超高齢化する被災地東日本大震災の被災地においては、震災前から高齢化率がすでに30%を超えている自治体も多く、被災後006Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014