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【在宅医療の連携調整拠点】病院から在宅への移行をサポート地域の中小規模病院(副主治医?)在宅医療を含む地域包括ケアのイメージ急変時の受入れ、高度な治療・検査など在宅医療を後方支援急性期・回復期病院在宅療養支援病院(副主治医?)在宅診療所(主治医)地区医師会歯科診療所専門職スタッフとの連携により在宅療養環境を向上図2在宅医療を含む地域包括ケアのイメージ地域包括・医師会連携型の地域ケア会議により、在宅機関相互の顔の見える関係づくりを強化在宅診療所(副主治医)調剤薬局地域包括支援センター地域包括支援センター多職種の情報共有システムを構築地域単位での在宅ケア普及、患者・家族交流等を実施栄養士会に内陸部に移住した世帯などを考えると、高齢化率がすでに40%を超えているとの指摘もある。2030年の都市部の課題を先取りしているのが被災地といえる。津波被害が大きかった今回の震災では、仮設住宅の建設が可能な土地を浸水区域外に十分に確保できなかったことにより、談話室や集会所もなく、買物や病院へのアクセスも不便な社会生活基盤の無い仮設住宅だけの小規模な団地が点々と建設されていった。仮設住宅への入居も抽選方式となり、集落単位で支え合っていたつながりも途絶え、コミュニティをゼロからつくりなおすこととなった。東京大学高齢社会総合研究機構は、千葉県柏市において都市部の高齢化への対応に取り組んできた経験を活かし、被災地の復興に対して提言を行った。その理念は、「経済面での復興はもとより、高齢者が孤立することなく、安心してコミュニティ内での役割を持ち、暮らし続ける試みを実現すること」である。このことは、被災地に限らず、すべての人が将来に向けて安心して過ごせる超高齢社会のコミュニティづくりの第一歩である。被災地と都市部の未来の共通点被災地で発生している課題は、都市部において高齢化が進展した場合に生ずる課題と共通することが多い。例えば、被災地の仮設住宅では、人と人とのつながり、住民同士の声掛けや支え合いなどが難しくなっている。都市部においても、コミュニティの崩壊は指摘されており、身近な支え合いができなくなりつつある。また、被災地では津波により診療所や病院が破壊された。そのため一部の【ワンストップ窓口】在宅ケアの総合相談対応病院に患者が集中し、さらに病院から溢れた患者は診療所に殺到し、かかりつけ医師の疲労介護老人保健施設等事業所連携等によりは高まり、プライマリケア(身近在宅ケア体制を強化にあって、何でも相談にのって訪問看護ステーションくれる総合的な医療)も厳しい(小規模事業所)状況にある。そのような状況は、訪問看護ステーション被災地では病床の物理的減少(大規模事業所)により生じたが、都市部では高2齢者の急増により発生する。復興が進まぬなか、若い世代は内陸部への移住などを考えており、看護や介護の資源も限定的になりつつある。仮設住宅での生活不活発病などが増えており、ますます患者は増加していく。被災地に限らず都市部でも、高齢者を取り巻く状況は今後ますます厳しさを増していく。居宅介護支援事業所千葉県柏市豊四季台地域での取り組み東京大学高齢社会総合研究機構は、千葉県柏市及び独立行政法人都市再生機構と連携し、Aging inPlaceを具現化する超高齢社会対応のまちづくりのモデルを千葉県柏市豊四季台地域で開発している。当地域は柏駅前から徒歩15分という好立地にあり、1964年に建設された豊四季台団地を有している。豊四季台団地は高度経済成長期に入居した世帯が一気に高齢化し、一部高齢化率が40%を超えている。また単身高齢者の増加も顕著である。エレベータの無い5階建ての集合住宅(賃貸)であるため、虚弱化すると住みなれたコミュニティを離れて転居するか、逆に閉じこもるしかなく、孤独死が発生するなど高齢化への対応が必要な団地であった。そこで、都市再生機構による豊四季台団地の建て替えにあわせ、民間に賃貸売却をする土地に、サービス付き高齢者向け住宅と、在宅医療を含む地域包括ケアシステムの拠点を併せて整備した。小規模多機能型居宅介護や24時間対応型訪問看護・介護、グループホームなどが複合的に機能する拠点を目指す。この拠点は団地住民のものだけではない。豊四季台地域の日常生活圏域全体を対象とする在宅ケアの拠点である(図3)。Civil Engineering Consultant VOL.263 April 2014007