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写真3子供と公園プランを作る(二子玉川公園)写真4子供と一緒に花壇を作る(二子玉川公園)ひとつは、東京都世田谷区立二子玉川公園である。多摩川河畔にある区内最大の地区公園で、都市計画決定は1957年と古いが、紆余曲折を経て、2008年に事業認可を取得、2013年に一部が開園した。約6haの敷地内には、回遊式日本庭園や土地の高低差を利用した眺望広場をはじめとする様々な広場や花壇、ビジターセンター、カフェなどが点在している。特に突出したデザインの公園というわけではなく、緑の中をカーブする舗装された園路が続く、よくある普通の公園に見えるのだが、特徴的なのはその「作られ方」と「使われ方」である。区から委託を受け、基本計画と基本設計を担当した当社が、5年に亘って地元住民とのワークショップを繰り返し、公園の形態だけでなく、管理運営や使い方、それを支える仕組みまで検討し、形にしていった。開園後の現在、公園には花壇を作るグループや子供の遊びを指導するグループ、公園施設全体をモニターし続けるグループなどの住民グループが作られ、公園の管理運営を積極的に支えている。手作りの花壇に掲げられた「おはなをつんでいいよ」というサインは、禁止看板とは異なる思想にこの公園が支えられていることを示している。公園の計画・設計への住民参加や、施設の維持管理を支援するボランティア参加などは各地で試みられているが、当初から公園の使い方まで見据えたうえで、計画・建設プロセスにここまで住民が長く関わった例はなかった。今日、世田谷区に限らずどこの自治体も頭を悩ませている「増えない予算で増える公園をどう維持するか」という課題へのひとつの可能性として、この公園は今後も注目に値すると思われる。写真5二子玉川公園の手作り花壇に掲げられたサイン路上の公園もうひとつは、アメリカの西海岸、カリフォルニア州サンフランシスコ市で実践されている「Pavement toParks(舗装から公園へ)」と名付けられたプロジェクトである。これは、市内の路上駐車スペースを、隣接した建物の住民や店舗のオーナーが申請して借り受け、008Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014