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写真6イスとテーブルでくつろぐ「パークレット」(サンフランシスコ)写真7「パークレット」のサイン(サンフランシスコ)ベンチや植木鉢を置いて公園化するという制度である。ひとつひとつの小さな公園は「パークレット」と呼ばれている。もとは、地元の建築家による、駐車スペースに芝生とベンチを置いて仮設の公園を作る「パーキング」というパフォーマンスとして始まったものだ。これが話題となり、年に一度、アメリカ各地で一斉に行われる「Park(ing)Day」というイベントに発展した。これをヒントに、サンフランシスコ市が、市内の道路・歩道環境の整備推進の一環として制度化した。市のウェブサイトから参加マニュアルを閲覧することができる。マニュアルには、申請からデザインの審査と許可の流れ、建設後の適切な維持管理の方法までが詳しく解説されている。現在50近くのパークレットが作られているが、市民の関心が高く、応募が殺到していて、現在は一時的に新規の応募を停止しているほどらしい。掲載されているいくつもの写真を見ると、街路の路肩に花や緑や屋外家具が置かれるだけで、街の風景が劇的に変わる様子がよくわかる。で、公園を作る側と使う側の分断を乗り越えようとしていることと、それによってこれらの公園が「誰かが作ったみんなの公園」ではなく、「私たちが作った私たちの場所」になっていることだ。ここに、先ほど述べた、公園の「公」とは何か、という根本的な問いへのヒントもあらわれているように思う。パークレットに憩う人たちの様子はまさに都市のリビングルームを体現している。公園への固まった先入観を捨てて、『太政官布達第16号』のラジカルさをいま、思い出してみてもいいだろう。<写真提供>写真2、3、4、5株式会社ランドスケープデザイン写真6、7、8小林博人公園の「公」とは何か世田谷の住宅地の地区公園とサンフランシスコ市の街路の公園、それぞれ規模も形状も異なる「公園」だが、これらに共通しているのは、使う人が積極的に公園の供給サイドに踏み込んでいくこと写真8パラソルのある「パークレット」(サンフランシスコ)Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014009