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大、大橋二丁目の住宅地の下をトンネルで通過し、現在のジャンクションがある目黒区大橋一丁目地区でループ橋に移行し、3/4周して高速3号線に接続する方針で都市計画が決定された。目黒区大橋一丁目は区北部に位置し、東急田園都市線池尻大橋駅や国道246号に近接する交通至便な地区であるが、目黒川沿いの低地であることもあって環境面を中心に課題の多い地域であった。ジャンクションの建設に目黒区は強い危機感をもって対応し、平成4年、目黒区は『地区整備構想(案)』を策定した。地元住民の不安感は街づくりの機運へと高められ、平成7年に地元有志による「大橋一丁目街づくり研究会」が設立された。一方、連結路の建設については、事業反対により用地の取得が殆ど進まない状況が続いた。事業停滞を打開するため、東京都は平成11年4月に大橋ジャンクションの計画を大胆に見直す都市計画の変更を行った。地下トンネルと高架の高速3号線との高低差70mを繋ぐ約1kmの連結路を400mトラック相当のループ状に重ね、大橋一丁目地区に格納する現在の計画となった。大橋一丁目地区のほぼ全域を道路区域として買収し、連結路からの騒音や排気ガスが周辺環境へ与える影響を考慮して可能な限り「覆蓋化」することとした。この覆蓋の天井部が後の屋上公園の物理的基盤となる。また、この覆蓋化の追加と連結路の変更に伴って新たに換気所が必要となり、これを連結路ループの内側に設けることとなった。この屋上も後に自然再生緑地として整備される。また、換気所には計画当初に開発中であった「低濃度脱硝設備」が設置された。ジャンクションの計画変更にあたり、道路関係者は、何らかの街づくりがいずれ必要となるとの認識を持っていたが、都市計画決定において目黒区長からジャンクション建設と一体的な街づくりを要望する付帯意見が付されことにより、検討に拍車がかかった。計画変更に対し地元住民及び目黒区も速やかに反応し、平成12年1月には「大橋一丁目地区再開発準備会」を設立した。当社も街づくりが進まなければ道路も進まないとの考えに立って、同年4月には大橋地区に現場事務所を設置した。以降、当社のプレハブ事務所で、再開発準備会、東京都、目黒区、首都高等による「街づくり懇談会」「街づくり協議会」が毎月開催され、議論は約520回にも及んだ。強い意志をもった住民リーダーと、「街づくり協議会」をリードしながら粘り強く東京都や当社との調整に当たった目黒区の関係者の努力により、街づくりの方向性が急速に定まっていった。平成14年1月「街づくり協議会」により、「1住み続けられる街づくり」「2周辺との連続性が確保された街づくり」「3環境に配慮した街づくり」の『大橋一丁目街づくり方針』が策定され、4月には「大橋地区再開発協議会」が発足した。この街づくり方針のうち「3環境に配慮したまちづくり」では、大橋ジャンクションの形状を生かした大規模なオープンスペースや緑地を整備することが定められている。これは、再開発事業計画はもとより平成20年から具体化検討に入ったジャンクション屋上の天空庭園整備計画の源流となった。再開発事業と都市公園整備事業が合流並行して再開発事業について検討が進められた。様々な経緯を経て最終的に平成17年3月、東京都による大橋地区第二種市街地再開発事業がスタートした。事業区域約3.8haの中央部に約2.4haのジャンクションを取り込んでいるため、最大の課題となったのが、ジャンクションの早期完成供用と再開発事業における採算性の確保であった。この解決のため、地元、目黒区、東京都と当社が協働してさまざま取組みが行われた。事業者サイドの取組みの主なものは、道路事業では、再開発区域をジャンクション工事が行われる地区と工事の影響を受けない地区に分け、工事を行う工区においては、再開発事業計画決定以前から当社が転出者に対して積極的に用地買収を行い、残留希望者には工事借地等の措置を講じ、権利者保護と工事エリアの早期確保を行った。この結果、平成22年3月、再開発事業の完成に先んじて中央環状線「山手トンネル」と高速3号渋谷線とを接続する大橋ジャンクションが完成した。この先行工区においては仮住まい中の権利者を早期に収容するため図2 4者の連携Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014019