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図4-1発災後4 0分(遡上開始)図4-2発災後60分■避難シミュレーションの実施避難シミュレーションは、各検討の基本となるケースとして、健常者を対象とし、発災10分後に徒歩で避難するケースを対象に実施した。(図4)。■検討1避難困難な地域の抽出避難シミュレーションの結果、シミュレーション上は辛うじて避難できた。ただし、津波シミュレーションはあくまで想定であり、想定どおり津波が発生するとは限らないため、避難計画の検討にあたっては、適切な避難目標時間の設定が必要である。本検討においては、津波が遡上開始する時間までに、避難完了できるよう、避難目標時間を避難開始から30分以内(発災後40分)と設定した。●避難困難地域の抽出その検討では、避難開始から30分以内に避難が困難な避難者(以下、避難困難者)が、長栖エリア(688人中265人)及び鰐川エリア(69人中64人)に分布する結果となった。■避難場所、避難方法の検証前項の検討結果を踏まえ、避難困難者が分布する長栖エリア及び鰐川エリアを対象に避難場所及び避難方法に係る検討を行った。■検討2防災公園の効果検証現在、長栖エリアでは防災公園(津波一時避難場所)の設置を計画している。そのため、長栖エリアの避難困難者を対象に、防災公園を設置した際の効果検証を行った。なお、30分以内に津波浸水想定区域の外側へ避難が可能な避難者は、防災公園への避難対象者から除外し、津波浸水想定境界へ避難するよう設定した。防災公園を設置することで、長栖エリアの避難困難者は265人から20人(避難時間が30~35分の間)に減少する結果となった。なお、上記20人が分布する北公共ふ頭周辺の避難者は、発災後迅速な避難開始(5分以内を目安)が必要である。■検討3自動車避難の検討鰐川エリアには24世帯69人程度の人口が分布する。発災後10分に徒歩で避難した場合の津波避難シミュレーションの結果、避難困難者は64人であった。なお、鰐川エリアの避難者が、北側の高台に避難するためには、津波の遡上する方向へ避難する必要がある。また、周辺は鰐川沿いの低地であり、周囲に津波避難ビル等も分布せず、津波タワー等の設置も現実的ではない。以上を鑑みると、鰐川エリアは津波の遡上する北公共ふ頭から最も離れてはいるが、発災後、迅速に避難する必要があると考えられる。津波避難は、原則徒歩を徹底する必要があるが、鰐川エリアにおいては、地域の実情に加え、以下に示す理由から、自動車による避難が適当であると考えられる。・他地区の徒歩避難者への妨げとならない避難経路を選択できる。・鰐川エリアに分布する避難者数は24世帯69人と比較的少なく、自動車使用による交通混雑の発生が低い。・自動車による避難経路も単純であり、ルール化を図ることが比較的容易である。鰐川エリアを対象とした自動車による避難シミュレーションの結果は、図8に示すとおりである。自動車により避難することで、鰐川エリアの避難困難者は64人から0人に減少(全て30分以内に避難完了)する結果となった。034Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014