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旧大日影トンネル東京側坑口と深沢川を渡る橋第63回ワインと先人の知恵を楽しむ「旧大日影トンネル」山梨県・甲州市八千代エンジニヤリング株式会社/技術推進本部/技術管理部-近藤安統/KONDO Yasunobu(会誌編集専門委員)■国産ワインの発祥地山梨県の勝沼では奈良時代となる8世紀前半に葡萄作りが始まったといわれ、江戸時代には江戸神田市場に盛んに出荷していた。当時の書物には日本一の葡萄産地として甲斐国が挙げられている。しかしそれまでの葡萄は生食専用であった。明治になり殖産興業政策の一つのシンボルとしてワイン醸造が奨励され、1879(明治12)年にワイン造りが始まった。1913(大正2)年の中央本線勝沼駅の開業は、葡萄の販路拡大とワイン生産の本格化をもたらし、地域の経済発展に大きく寄与した。そして、今も日本一の産地として発展を続けている。甲府盆地の東側の縁に位置する勝沼駅のホームからは、甲府盆地の雄大な景観と遠くに南アルプスの山々が一望できる。現在、勝沼ぶどう郷駅と改称され、東京方面からは多くのトンネルを抜けた先となる。そのうちの最後のトンネルが「大日影トンネル」だ。このトンネルのすぐ南側には「もう一つの大日影トンネル」がある。1903(明治36)年に全長約1.4kmの鉄道トンネルとして開通したこのレンガ造りのトンネルは、現在遊歩道となり、中には乳母車を押した子供連れの家族などの多くの観光客がここを訪れる。なぜ、遊歩道トンネルがあるのだろうか。■東京?甲府間の鉄道敷設と勝沼駅本州の中央部を通って、東京~名古屋を結びつける鉄道敷設計画が立案されたのは1892(明治25)年であった。この中の東京~甲府間については二つのルート案があった。八王子より甲州街道に沿って小仏、笹子の険を貫き甲府に出る八王子線案と、御殿場より吉田と御坂峠を通過して甲府に達する御殿場線案である。この二つの案から1894(明治27)年、甲州の貨物輸送からは御殿場線案が有利であったが、軍事上の目的から八王子線案が採用となった。040Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014