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た教育活動を表彰するゴールデンキューブ賞を設立するなどのさまざまな試みをしました。けれども、それはあくまでも建築の教育で、そこも縦割りになっています。自分たちが住んでいる建築や土木も、いろいろなものがある地域のなかでの環境教育というようにしないといけないですね。さんというフランス人エンジニアの設計です。建築と土木と両方で競っています。ですから日本でも街並みのコンペを土木と建築と一緒に企画するということは考えられるかもしれませんね。大島またそれをマスコミやメディアが取り上げてくれないとなかなか意味がありません。PRも重要大島次世代の人に引き継いでもらいたいという前に、最近、土木の人気があまりないものですから、とくに若い人が土木の世界に来てくれないのです。ですから若い人に土木の世界に来てもらうために、いろいろな工夫をしています。先日、建築の方が書かれた本を読んで感心したのは、1942年に建築学会が主催したコンペ・大東亜建設記念造営計画設計競技で丹下健三さんが優勝した際、学会が大々的に「こんなに若い次世代のすごい建築家が現れた」とPRしたそうです。それを新聞が取り上げでもすれば皆が注目するわけです。そうやってスターがつくられたのではないかと思いました。そういうPRできるものをつくっていく必要性をものすごく感じました。我々も発注者に「建築のようにコンペをやったらどうでしょう」と提案することもあります。やはり世の中が注目するものを考えたいし、もし建築と一緒にできるようなものがあれば、ぜひやっていきたいと思います。土木の世界、とくに我々の世代は、黙って仕事をするのがいいという風潮があり、スターというものを嫌がるのかもしれません。芦原黙って、チャラチャラしてはいけない。建築家は結構しゃべりますからね。大島学生時代を思い返しても、建築の人はよく話していて、全然雰囲気が違うのです。土木が一時期ものすごく叩かれた時も、言い訳をせずに「ちゃんといい仕事をしていれば、いずれは分かってくれるんだ」と言っていたことがありますが、どうもいまは、いいものをつくったからといって分かってくれる世の中ではないですから、もう少し積極的にいろんな仕掛けを考えた方が良いですね。ただ、その時も、自分たちだけでやるのではなく、いろいろな分野とコラボレーションすることが効果的だと思います。――パリのエッフェル塔を設計したエッフェルさんはエンジニアですね。いま、ヨーロッパの橋のコンペでは、エンジニアもアーキテクトも仕事を取っています。オルセー美術館前のソルフェリーノ人道橋は、マルク・ミムラム改めて協働を誓って芦原今日は、建築と土木のつながりに気づくことができました。決して仲が悪いわけではなかったですね。大島おっしゃるとおりだと思います。我々もコンパクトシティを提唱したりしていますが、どうしても機能だけで考えてしまいがちです。それだけではなく、「こうしたほうが便利ですよ」「こうしたほうが効率的ですよ」など、もう一歩進んだ住みやすさやコミュニティについても考えていかなければいけない。そういうことはなかなか一人で勉強できないので、建築をはじめいろいろな方と一緒にやるのがいいのではないかと思います。芦原実際の地域や街の視点、あるいは市民の視点から考えると、自分たちの地域に何かがつくられている場合、これは建築と土木のどちらがつくったのかは関係ありません。それが本当のところではないでしょうか。ですから“Built Environment”という、建築も土木も一緒だという視点で僕ら専門家は一所懸命に頑張ってはいても、制度としては歴史的に全部分かれているので、やはりまず手をつなぐことが大事だと思います。お互い目指すところは一緒であって、素敵な地域や環境をみんなで手を合わせてつくっていく思いは、何ら変わりはありません。大島ぜひ、手を携えていきましょう。――今日は大変有意義なお話ができました。ありがとうございました。司会富樫茂樹(建設コンサルタンツ協会美しい国づくり専門委員会)実施日:2014年2月28日場所:建設コンサルタンツ協会会長室Civil Engineering Consultant VOL.264 July 2014059