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特集インフラの未来?どうなっている・どうなってほしい・我々の未来予想図?2建築とデジタルテクノロジー=ハードウェアとソフトウェア齋藤精一SAITO Seiichi株式会社ライゾマティクス代表取締役スマートフォンと連動して東京の町に映し出されるプロジェクションマッピングやテレビCMを見て、「これってCG?どうなってるの?」と思った人も少なくないだろう。このようなデジタル技術と実際の建物を融合させる第一人者が語る、インフラとデジタルが融合する未来のあり方とは。建築は時代に比べて遅すぎると感じた私はコロンビア大学の建築学科を卒業し、その後建築設計事務所で1年勤務した後に建築の業界を去った。建築設計事務所に入所する前にコロンビア大学大学院で学んだことの多くは、現実的な建物の建て方というよりももっと哲学的な内容であった。そんな私には、建物のあり方をスタディーし、それを基に図面をしたため、その後建設をするフローがとても遅く感じていた。例えば私の関わったプロジェクトでは、既に私が入る前に5年の歳月が経っていた。もちろん建築や都市にとって、準備や調整に必要な時間が長いというのは理解していたが、時代の変化が速くなっていた2000年初頭、私の目には建築・建設は受け入れられないほど遅く、画面の中でどんどんと変化するCGの建築のほうに魅力を感じていた。それを転機にプログラムやデジタルを使った表現を主な手法としているのだが、2013年頃からようやく現在やっているテクノロジーを使った表現が建築と協業出来る可能性を感じ始めた。私が創設したライゾマティクスが創業から現在までの8年間行っていることは、テレビCMなどの映像表現や大型商業施設のサイネージ(電子看板)やウェブサイト、ライブの演出やイベント等が多い。建築に近い物だとプロジェクションマッピング(写真1)も沢山行った。我々が行っている事は“ハードウェアとしての建築”にインストールする“ソフトウェア”というイメージで制作しうつわており、特に最近は建築を「器」として捉えており、その中での表現に一番の興味を持っている。器=フレームとしての建築・都市建築や都市は従来そこに住む人、使用する人々の行動や視点、その他様々な人間の行動や思考を制御できる装置であった。ある程度明確な機能を持ち、都市を機能させてきた。もちろん現在でも我々をコントロールしているのは事実である。しかし、近年のテクノロジーの進化とそれに伴う時代の速い潮流によって、建築や都市は器=フレーム化していると言える。例えば建築物であれば計画当初から明確な機能を持つものの、計画した時代と実際にそれが竣工し機能し始める時代の“タイムラグ”を吸収出来るだけのバッファを持たなければいけない。まさに「ソフトウェア的機能」を受け入れる必要が有り、それによって建築や都市が時代に合わせて変化することが可能になる。私のような外から建築を見ている人間からすると、建築家はもはやデザインや様々なまとめをするのは当たり前であり、それは従来通りもしくはそれ以上に従事することが必要であるが、それに加えてソフトウェア的観点=ランニングやマーケティングも考えた建築計画が必要であると考える。それは商業施設だけではなく、住宅や都市計画でもそうだと思える。建築は計画された時代によって時を止めるのではなく、時の流れに流され、操作し、早急に時代にアダプトする必要が有ると考える(写真2)。テクノロジーと都市と建築建てるだけが建築ではない時代になったのかもしれない。例えば今まで、人が集合する場所が必要であれ010Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014