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表1 2050年予測データと予想される社会の変化人口地球環境水・食糧日本の総人口は現在の4分の3ほどに減り9,515万人と推計されている※1。2 0 ? 6 4歳の労働人口が減るので、2 0 5 0年には社会における「定年」の意味が変化しているかもしれない。一方、世界全体では、現在の3 0%以上も人口は増加し、9 3 .1億人に達する見込み※2。食糧・水・エネルギーなどの上手な分配が必要になるだろう。※1──国立社会保障・人口問題研究所(2006)「日本の将来推計人口(死亡中位・出生中位の場合/平成18年12月推計)」※2──国連(2010)「世界人口推計2010年改訂版」温室効果により世界平均気温の上昇が予測されている。上昇量は私たちがどう暮らすか「シナリオ」により異なるが、最良のシナリオ(B1)でも基準より約1.2℃上昇する※3。B 1シナリオとは、グローバル化の一方で、環境・経済・社会の持続性を重視する「循環型社会」を表す。物質指向は減少する。2030年頃に、最良と最悪のシナリオが分岐し始める。2050年には私たちがどのように暮らしてきたか、その結果が如実に現れるだろう。※3──気候変動に関する政府間パネル(2007)「第4次評価報告書」2050年には水不足によるストレスを感じる人は10億人規模に膨れあがると予想されている※4。地球温暖化と人口増加に加え、生活水準の向上にともなう一人当たりの水利用量の増加が、水不足に拍車をかける。日本でも、水をあまり使わないお風呂など、今までのライフスタイルを見直す必要がありそうだ。食糧不足も私たちのくらしを脅かす。93億人に達した世界人口を養うため、食糧生産量は今と比べ約70%も増加する※5。耕作地の確保や農薬・肥料・品種改良など、先端技術が農業に投入されるだろう。生産量は気候変動の影響も受ける。たとえば、日本の米の生産地は北にシフトすると予想され、収量の変化を最小限にするための耕作時期の変更が行われるだろう。※4──国連(2009)「第3次世界水開発報告書」※5──国連(2009)「2050年の世界をいかに養うか」図2常設展示「2050年くらしのかたち」のコンセプトなっている。市の中心区域は徒歩20分程度で、生活に必要なほとんどのものが揃っている。これは「コンパクトシティ」の考え方に基づいている。2050年の公共交通いとおか市に向かうためには高速鉄道を使う。この鉄道は、超電導技術を用いた磁石の力で車体を浮上させて走行する「リニア高速鉄道」である。時速は約500kmだ。いとおか市を含む、複数の都市を結ぶ交通の要として運行されている。高速鉄道の駅からいとおか市内の各地域まで移動するには、「LRT(ライト・レール・トランジット:軽量軌道交通)」や「BRT(バス・ラピッド・トランジット:バス高速輸送システム)」などに乗り換える。いとおか市では、リニア高速鉄道を一番上にして、その下にLRT、バスや乗り合いタクシーと続く、階層型の公共交通システムが導入されており、市内のほとんどの地域を公共交通で移動することが可能だ。自動車を自由に使えない人でも、必要な都市機能を享受できる生活環境が実現されているのだ。いとおか市の名産品さて、いよいよいとおか市に到着である。取材対象の人物との待ち合わせ時刻よりも少し早い。それまでに市内を散策するとしよう。駅を出ようとしたとき、駅の入口Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014021