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絹糸を原料とした様々な素材分子の大きさ製品古紙と組み合わせた丈夫な構造物柔軟なフィルム色素石油由来製品の(太陽電池への応用)代替原料図4 木質プラスチックの多段階利用分子構造を徐々に小さなものへと変換させながら、さまざま形で工業システムのなかで活用していく。絹糸を含む製品例感心した。介護や農作業などでも応用されるほど、いとおか市では当たり前に使われている。近くでは、小学生くらいの子どもたちがその作業を見守っていた。あとで聞いた話だが、高い技能を必要とする「とび職用ロボットウェア」は、子どもたちのあこがれの的だそうだ。図3?絹糸の様々な産業への応用(農業生物資源研究所発行「カイコってすごい虫!」より)にある丸い柱に何かが表示された。「市役所で遺伝子組み換えカイコの燻製大試食会!」という告知だ。柱に「フレキシブルディスプレイ」が貼り付けられ、柱全体が広告塔になっている。このディスプレイは柔らかい素材で作られており、曲面や凹凸面に貼り付けて映し出すことができるものだ。「カイコを食べるのか」と驚いたが、案内によれば「カイコ」はいとおか市の名産のひとつであるという。カイコの絹糸は人工血管、角膜や絆創膏などの医療用品や衣類など日常生活用品の材料としても用いられている(図3)。カーボンナノチューブに変わる新しい素材として「クモ糸」を使う宇宙エレベーターの開発プロジェクトも始まっており、カイコにクモ糸を生産させる研究開発も行われている。それを知って興味をもったが、残念なことに試食会の時間帯が合わないので今回は見送ることとした。狭い場所で重機代わりにロボットウェア駅前を見渡すと、一角でビルの新築工事を行っていた。建設用の重機が入れない狭い区画で、器用に動いているのは「ロボットウェア」を着た作業員だ。大きな建設資材を手際よく、複数の作業員で運んでいるのを見てミニ植物工場とトレーサビリティその工事現場から少し離れたところに、「新鮮野菜のサンドイッチ」という看板を見つけた。カフェではあるが、軽食もあるようだ。昼食の時間は過ぎているが、そういえば朝から何も食べていない。店に入って早速サンドイッチを頼んだ。運ばれてきたのは、お皿に載せたパンとハムだ。新鮮野菜は?と思ったが、「サンドイッチはそちらからお好きな野菜を選んで挟んでください」と店長に説明された。各テーブルの脇に小さなガラスケースがあり、そこに植物が植えられていた。これが「小型の植物工場」だという。ここから採ってそのまま食べるのだ。無菌で無農薬なため、洗う必要はない。「パンとハムもこの辺りで作っているものです」と言いながら店長が腕時計型端末をかざすと、産地や製造業者がいとおか市内と表示された。いとおか市内では、ありとあらゆる製品や商品にICタグが取り付けられ、原産地や生産者を特定できる「トレーサビリティシステム」が浸透しているようだ。石油を使わないプラスチックによる循環型社会カップやお皿も変わっている。木製のような色合いだが、触った感じはプラスチックだ。店長に聞くと、「ああ、これは木質プラスチックを使ったカップですよ」との答えが返ってきた。いとおか市で流通しているプラスチックは石油由来ではなく、全て古紙や木屑を原料に作られている。使い尽くして古くなった木質プラスチック製品は、分子レベルで分解して別の製品としてリサイクルし022Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014