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Project 1 briefプロジェクト紹介有田漁港におけるサンゴ移植事業大本茂之OMOTO Shigeyuki株式会社エイト日本技術開発国土インフラ事業部プロジェクトマネージャー■はじめに成17年にラムサール条約登録湿地■移植サンゴの選定ひがしむろぐん和歌山県東牟婁郡串本町に存すに認定され、そこに生息・生育する東防波堤前面に生息する群体サ030Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014る有田漁港は避難漁港に指定されており、荒天時には潮岬西側の周辺漁港から多数の漁船が避難してきます。しかしながら、漁港内の泊地(図1)の一部では所定の静穏度(波高0.4m以下)が確保されておらず、避難漁船の係船が困難な状況が続いていました。こうした状況の中、和歌山県では、1越波及び基礎材飛散の防止、2背後泊地の静穏度向上を目的とした消波工(消波ブロックの設置)を東防波堤前面に施工することを平成18年に決定しました。しかしながら、有田漁港を含む串本沿岸海域は平動植物、特に群体サンゴ(複数のポリプで構成されている種)の保全を図ることが提唱されていました。そこで、和歌山県では、消波工の施工が群体サンゴに与える影響を実行可能な範囲で低減するために、東防波堤前面に生息する群体サンゴの一部を他の場所へ移植する事業を平成19~22年にかけて実施しました。本稿では、その中で当社が担当した移植サンゴの選定、移植先の選定、移植作業、事後調査について紹介します。ンゴは現地調査の結果、全て串本町地先で普通に観察される種に該当しました。このため、種に関係なく、より多くの群体サンゴを移植できるよう「作業性の向上」に焦点を当て、比較的取扱いやすい長径40cm未満のものを移植対象に選定しました(図2)。ここで、長径40cm以上のものを原則として移植対象から除外した理由は以下のとおりです。・サンゴは、基盤表面にしっかりと固着しているため、基盤から剥がれにくく採取しづらい。・サンゴを力まかせに基盤から剥がそうとするとバラバラに砕けて図1有田漁港の全景図2長径(サンゴ体の投影平面上の長さの中で最長の箇所)の位置