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図4移植サンゴの採取・運搬・固定状況年5月以降しだいに低下しましたが、移植から3年10ヶ月が経過した平成22年11月現在でも69%(209群体)と高い値を記録しました(図5)。ちなみに、生残しなかった原因の7割は「移植サンゴの流失」でした。加えて、移植サンゴの長径の平均的な成長量は、平成19年5~11月の期間が0.011mm/日、平成20年6~11月の期間が0.045mm/日、平成21年6~11月が0.016mm/日、平成22年8~11月が0.018mm/日であり、移植当初の平成19年より平成20~22年で高い値を示しました。これらのことは、移植サンゴの多くが西防波堤背後(移植先)の環境にうまく適応し、安定して成育・成長しつつあることを意味していると考えられます(図6)。また、文献によると、過去の移植事例における移植サンゴの生残率は、移植後1年以内には80%を上回るケースも見られますが、移植後2年以降では60%未満に低下しており、今回の移植サンゴの生残率(移植後3年10ヶ月で69%)に比べ10%以上も低い値です。したがって、本移植結果は過去と比べても適切な移植事業であったといえます。なお本調査では、69群体の移植サンゴの流失を確認しました。こうした流失群体は調査範囲全体でみられ、ある領域に集中的に分布するといった傾向は認められませんでした。このことから、流失群体の発生原因としては、水中ボンドの劣化(耐用年数5年;メーカー聞き取り結果)による固定部位からの脱落と、台風しけ等の通過時における時化による剥離が考えられます。特に、台風4号(平成19年7月14~15日;最大有義波高10.29m)が接近した平成19年5~11月の期間の20群体と、台風18号(平成21年10月7~8日;最大032Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014