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するほか、自主避難をしている町民も全国各地にいる。平成23年4月22日、福島第一原子力発電所から半径20kmの圏内が警戒区域に指定され、富岡町は全町域が警戒区域内となり立入りが制限された。それから約2年後の平成25年3月25日、町域は空間放射線量をもとに帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域の3区域に再編され、帰還困難区域を除く2区域には日中の立入りが可能になった。しかし、避難指示は依然として継続しており、町民にとって将来の見通しが立てられない状況が続いている。そのため、帰還を断念する町民も年々増加しており、平成25年8月に富岡町が復興庁と合同で行ったアンケート調査では、町民の46.2%が帰還しない意向を示している。■復興に向けた計画づくり当社は、平成23年8月から富岡町の復興に向けた計画づくりの支援に携わってきた。●第一段階(復興ビジョン策定)誰もが帰りたくなるまちづくりに一日も早く取り組むための指針として『富岡町災害復興ビジョン』の策定を支援した。策定の過程では「町民と協働のまちづくり」を目指し、町民の代表者と町職員を交えて、産業再生、住環境、減災・防災の3つのテーマに関してワークショップ形式で議論を行い、意見を集約した。また、将来の担い手となる子どもたちへ復興の想いを伝えるため、復興ビジョンの子ども向け概要版の冊子を作成した。●第二段階(復興計画策定)復興ビジョンで掲げた方向性を具体的な施策・事業に展開させた『富岡町災害復興計画(第一次)』の策定を支援した。策定にあたっては、町職員で構成される検討委員会を開催し、除染をはじめ産業再生、都市基盤、健康福祉、教育に至るまで全分野にわたる施策をカバーするものとした。また、町への帰還目標を発災から6年後の平成29年とし、目標年次に向けて復旧・復興の取り組みを進めるものとした。●?第三段階(復興まちづくり計画策定)『富岡町災害復興計画(第一次)』の中で重点的に進める事項として、「町民の生活再建支援」と「町内の沿岸部を中心とした土地利用等の具体的な計画」の2つを柱とする『富岡町復興まちづくり計画』の策定を支援した。策定にあたっては町民代表、各種団体、町職員、関係行政機関(国・県)及び学識経験者から成る富岡町まちづくり検討委員会を立ち上げ、さらに専門的な事項を検討する下部組織として3つの検討部会(富岡駅周辺整備、土地利用、コミュニティ)を組織し、議論した内容を計画に反映させた。■町民の生活再建支援●避難先での住環境の確保被災による避難開始当初は、放射線量が低下し帰町できる状況になるまで、いわき市や郡山市に町民の受け皿となるニュータウン型の新市街地「仮の町」を構想し、『富岡町災害復興計画(第一次)』に方針を掲げた。しかし、避難者を受け入れている自治体の状況などから、ニュータウン整備の実現は困難なため、現実的な選択肢として、福島県が主体となって県内各地に原発災害避難者向けの災害公営住宅整備を進める形態で落ち着いた。福島県は、平成27年度までに4,890戸の災害公営住宅整備を目指し、今春より一部で募集開始を行うに至った。避難期間が長引く中で、町民にと写真2ワークショップ手法を用いた町民参加による復興ビジョンの策定図2戸建て型災害公営住宅の整備イメージCivil Engineering Consultant VOL.265 October 2014039