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図1ロケット打ち上げ用砲身図2 ?月ロケットに乗り込む人々滑らかに運動する関節構造や録音装置と適切な回答を選択する一種のコンピュータなど、さまざまなコンテンツが詳細に描かれていた。ちなみに日本では大正年間に生物学者の西村真琴が「学天則」というロボットを製作している。人型ロボットは、労働力のために開発が期待される一方、「理想の人間」を体現するものとして夢想されていた。飛行機から宇宙旅行までライト兄弟が飛行機を発明するのは1903年のことだが、ロビダは19世紀に、飛行機が主要交通手段となった世界を描いている。ただしそれは気球に推進動力を搭載した飛行船がメインだった。さらには巨大な気球でホテルやオペラハウスのような巨大建造物を空に浮かべ、そこに乗り合い飛行船や自家用飛行船で男女が出かけて行く未来を創造している。飛行船は当時の最新技術だった。エドガー・アラン・ポーは気球を使って月に行く物語を書いているが、硯岳樵夫『宇宙之舵蔓』(明治20年)も「電気気球」で月に行く話が登場する。そこには様々な異星人たちが集っており、彼らの物質電送技術によってさらに遠い惑星に移動して、その進んだ文明を見てくるという物語になっている。また貫名駿一『千万無量星世界旅行』(明治15年)には、巨大気球を用いて山をまるごと持ち上げ、これを海岸地方に移動させて一気に埋め立てを行なって土地を広げる技術や、巨大な電灯によって地域ぐるみ明るくする技術、さらには科学的方法によって動植物を人工的に生成する技術(バイオテクノロジー)なども登場する。200年後の危機に備えようとした法学者東京帝国大学の総長も務めた法学者・加藤弘之もまた、科学的な想像力を駆使して、未来に必要な技術を思い描いた。そもそも加藤弘之は『立憲政体略』(明治元年)や『真政大意』(明治3年)を著して立憲体制、代表制議会政治を一般読者に伝えた。また『国体新論』(明治7年)では、天賦人権説に基づく議会政治のありようを紹介し、自由民権運動にも大きな影響を与えた人物だった。Civil Engineering Consultant VOL.265 October 2014007