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特集土木遺産XII ?北米発展の礎となった土木技術?1アメリカの国土教育と北米大陸発展に果たしたインフラの役割?アメリカ合衆国の歴史・地理教科書から学ぶ?森田康夫MORITA Yasuo国土学アナリストアメリカ合衆国成長の歴史とフロンティア日本とアメリカ合衆国との外交関係は、1854年の日米和親条約の締結をもって始まるが、その切っ掛けとなった前年の黒船来航の背景には、アメリカ合衆国という国家の成長の歴史がある。入植・植民地時代(17~18世紀)はイギリス系・フランス系・オランダ系の移民とアフリカ系の奴隷、18世紀中頃からはドイツ系・アイルランド系の移民、その後第二次世界大戦まではイタリア系・ユダヤ系・スラブ系の移民、そして第二次世界大戦後はアジア系・ラテンアメリカ系の移民というように、アメリカ合衆国はいずれの時代も世界中から多くの移民を受け入れてきた。そしてその移民たちは、アメリカという壮大な国土を自らの永住の地と定めるとともに、更により良い生活を求めて、西部へ、北部へと大陸を移動していった。17世紀初めのイギリス植民地建設と同時に始まり、1890年のいわゆる「フロンティアの消滅」をもって終わりを告げた「西部開拓」の歴史はその最たるもので、広大で豊かな天然資源に恵まれた西部に「成功の機会」を求めて、多くのアメリカ人が移住した。この西部開拓を可能としたのが、道路や運河・大陸横断鉄道といったインフラストラクチャー(infrastructure)の整備であり、一方で、フロンティア消滅は、太平洋進出という新たなフロンティアを求める気運を高めた。無償貸与する形が通常であり、教科書は数年間の使用に耐えうるよう「百科事典」のような体裁をしている。具体的には、1ハードカバーでサイズが「大きい」、2ページ数が多くてとにかく「重い」、3多色刷りの写真や図表などが活用され「ビジュアル」である、といった特徴を有するのがアメリカの教科書である。「合衆国史」教科書の第1学習課題は「国土・地理」アメリカの大手教科書出版社Houghton MifflinHarcourt社が発行する小学5年生(Grade5)用の歴史教科書“SOCIAL STUDIES - UNITED STATESHISTORY”によると、「合衆国史」教科書の最初の学習テーマは「アメリカの国土(America's Land)」となっている。つまり、自国の歴史を学ぶのであればまずは自国の「国土・地理(Geography)」について学びなさいという教育姿勢が明確に示されている。実際、第1章・Lesson1「国土と気候(Land andClimate)」の1ページ目には、「この教科書では、合衆国に暮らす国民のことを学びます。この教科書を読んでいアメリカの教科書の特徴アメリカの教科書は自由発行であり、民間の教育出版社は、自社発行の教科書が広く採用されることを目指して、多くの州の定める教育スタンダードなどを参考にしながら教科書を編集している。また、アメリカでは、学校が備品として教科書を保管し、児童生徒にこれを図1アメリカと日本の教科書(小学5年生・社会)010Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015