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図5セントローレンス海路4)年代に完成した。当該海路は、多くの閘門の水位調整(約600フィートの上下移動)を行うことにより、巨大な外洋航海船を北アメリカの工業・農業中心地まで航行させることを可能にした。大陸横断鉄道(TRANSCONTINENTAL RAILROADS)・蒸気機関車と鉄道の整備により、大西洋岸から太平洋岸までの大陸横断が迅速かつ容易になった。・鉄道建設は北部アメリカにおいて19世紀初頭から始められたが、大陸を横断する鉄道を建設するためには、国土の厳しい自然条件(ロッキー山脈など)を克服する、具体的には森林を切り開き、渓谷に橋を架け、山脈にトンネルをくり貫いていく必要があった。・最初のアメリカ大陸横断鉄道は1869年に完成し、モントリオールからブリティッシュ・コロンビアに至るトランス・カナダ・レイルロード(Trans-Canadarailroad)は1885年に完成した。・これらの幹線鉄道ネットワークは、大量の物資や旅客を運ぶことにより、経済発展や国家統一に寄与してきた。・今日では、アメリカの鉄道ネットワークは世界第一位であり、カナダのそれは世界第三位である。高速道路ネットワーク(NATIONAL HIGHWAY SYSTEMS)・20世紀初頭からの自動車社会の到来によって道路建設に拍車がかかり、今日では、アメリカ国内に約400万マイル、カナダ国内に約56万マイルの道路ネットワークが構築されている。・南部地域に人口が集中しているカナダでは、国土の南部に位置する各都市を東西に結ぶ高速道路ネットワークが整備された。カナダの主要幹線道路であるトランス・カナダ・ハイウェイ(Trans-CanadaHighway)は、大西洋岸のセント・ジョンズ(ニュー・ファンドランド州)から太平洋岸のビクトリア(ブリティッシュ・コロンビア州)に至る約4,860マイルの延長を有している。・一方、アメリカでは、46,000マイル以上の州間高速道路インターステート・ハイウェイ(Interstate Highway)ネットワークが国土を縦横無尽に走っており、1950年代以降は、カナダやメキシコとのネットワーク接続も進められている。土木工学・インフラ整備の果実「パクス・アメリカーナ」国土保全やインフラ整備を支える「土木工学」は英語では“Civil Engineering”と表現されるが、その語源をたどると「土木」は“civilization”に通じていて、“Civil Engineering”は文明化のための工学(文明工学)と訳してもおかしくない。パクス・アメリカーナ(PaxAmericana)は、アメリカ人による国土への働きかけの成果であり、土木工学やインフラ整備の果実である。こうした気づきをもたらしてくれる、「時間」と「空間」の概念を重ね合わせて考えさせてくれる、アメリカの歴史教科書と地理教科書から学ぶべきことは多い。<参考文献>1)?森田康夫、『アメリカの地理・歴史教科書の検証と国土教育(前編)-オバマ大統領演説と「合衆国史」教育-』、JICE REPORT vol.19、(財)国土技術研究センター、平成23年7月2)?Houghton Mifflin Harcourt、『SOCIAL STUDIES -UNITED STATESHISTORY』(2008年版)3)?森田康夫、『アメリカの地理・歴史教科書の検証と国土教育(後編)-日米「地理」教科書比較と内村鑑三『地人論』-』、JICE REPORT vol.20、(財)国土技術研究センター、平成23年12月4)?McDougal Littell, a division of Houghton Mifflin Harcourt、『World Geography2009』(2009年版)5)?大石久和、『国土と日本人災害大国の生き方』、中央公論新社、2012年2月現職:国土交通省国土技術政策総合研究所建設マネジメント技術研究室室長Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015013