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表1閘門の変遷初代2代目3代目4代目(現在)完成年1829(暫定)1833(延伸)184518871932閘門数4027268閘室壁材閘門扉材閘室長閘室幅木木33.5m6.7m石木45.7m8.1m石木82.2m13.7mコンクリートスチール261.8m24.4m水深2.4m2.7m4.2m9.1mリフト高1.8 ? 3.4m2.9?4.3m3.7?4.9m14.2m通過可能船長30.5m42.7m77.7m225.5m貨物積載量185t750t3,000t25,000t(『The driver’s guide to the Historic Welland Canal』を基に作成)メリカ・ニューヨーク州となっている。また、二つの湖に挟まれた陸地には、ナイアガラ川が流れており、川が国境の一部をなしている。エリー湖からオンタリオ湖へと北流するこの川は、途中に有名なナイアガラの滝がある。落差約60mの滝は、古来、舟運が不可能なことから交易の難所であった。当然、船舶はここを往来できないため、この滝で一度荷物を降ろした後、陸路で滝の向こう側に向かい、再び船舶に荷物を載せ替える必要があった。したがって、ウェランド運河の誕生は、このナイアガラの滝に代表されるナイアガラ断崖の高低差を克服するため、この滝をバイパスさせた結果であると言える。■閘門による船舶航行の仕組み現在のウェランド運河には、下流のオンタリオ湖から上流のエリー湖へと1番から番号が付いた8箇所の閘門がある。これにより標高差99.5mを克服している。閘門ではバルブの開け閉めにより、水を上流から下流へ自然流下させ、船舶を上下させている。その水量は約9万1千m 3にも及び、約11分で閘室内が満水になる。4~6番の閘門は三つ連続した構造になっている。これは、ナイアガラ断崖を越えるためであり、標高差のうちの大半をこの付近で解消しなければならないからだ。またこの3連の閘門はツインフライトロックと呼ばれ、上りと下りの閘門が並列に配置されている。ウェランド運河の中でも、ここだけが2航路ある特殊な構造となっている。三つの閘門を通過するには3倍の時間を要するので、反対方向に進む船舶にとっては待ち時間が余計にかかる。そこで、船舶の遅延を解消できるよう全航路での通過時間短縮のための構造とした。なお航路は右側通行である。第2、第3、第6そして第7閘門のすぐ上流の右岸には、それぞれ調整池が設けられている。下流に位置する閘室内に自然流下させる水量を常に確保しておく必要からだ。閘門の平均リフト高は14.2mである。しかしエリー湖近傍にある最上流の第8閘門だけは、エリー湖との水位調節をするもので、リフト高は0.3~1.2mに過ぎない。それぞれの閘門の下流端では、船舶が所定の位置に着いた後、黄色いクレーンを使ったスチール製のケーブル・シップアレスターが降ろされる。船舶が下流へ流れ各施設を破壊しないようにするためのもので、最大4万tまでの船舶をつなぎ留めておくことができる。現在、閘室壁内のレールを上下する真空パッドで係留するシステムに変更する工事が進行中である。通行料は、貨物船では積荷の総トン数と種類に応じて片道10,000~31,000カナダドル、小型の旅客船では約1,500カナダドルである。多い日には一日に約30隻が通過する。■運河に架かる橋、運河をくぐる道路と河川ウェランド運河を横断する交通のため、4つの跳ね橋写真4下流から望む第4、5、6の3連の閘門写真5 第3閘門のシップアレスターと工事中のハンズフリー真空係留システム016Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015