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The“Brooklyn Bridge,”the great work by John A. Roebling’s familyローブリング親子による偉業「ブルックリン橋」アメリカ、ニューヨーク特集土木遺産XII北米発展の礎となった土木技術Special Features / Civil Engineering Heritage XIIマンハッタンとブルックリン橋株式会社千代田コンサルタント/東京事業部/社会システム部川崎謙次(会誌編集専門委員)KAWASAKI Kenji■アメリカを象徴する風景ニューヨークは言わずと知れた世界を代表する大都市であり、現地を訪れたことがなくても、世界中の誰もが写真や映像を通じて一度は目にしたことがある場所であろう。その中でも、マンハッタン南側のイースト川に架かるブルックリン橋は、ニューヨークだけではなくアメリカを象徴する土木構造物として存在している。ブルックリン橋は1883年に完成した橋長1,834m、中央径間483m、主塔高84.3m、建設当時に世界最長の中央径間を誇った吊橋であり、その存在感は世界七不思議の8番目の構造物と称えられたほど人々に衝撃を与えた。今日でも用いられているその架橋技術は長大吊橋の起源とも言われる。橋の建設費は約1,500万ドルであり、工事着工から完成まで14年の歳月を要した。完成に至るまでのエピソードとして、橋の計画・設計・施工に携わった土木技術者ジョン・A・ローブリングをはじめ、その息子ワシントン、そしてワシントンの妻エミリーら三人の功績と波乱の人生が語り継がれている。なぜ、ブルックリン橋はアメリカを象徴する風景を創り出せたのだろうか。■ブルックリン橋と歴史的背景現在のニューヨーク市は、中心地となる孤島「マンハッタン」と川で隔てられた周辺の「スタテンアイランド」「ブルックリン」「クイーンズ」「ブロンクス」を合わせた5つの行政区から構成される。ニューヨークの発展は当然マンハッタンによるものが大きいが、川を隔てた周辺4区との人やモノの往来、言い換えると船舶だけでなく、橋やトンネルなどのインフラを如何に確保するかが密接に関係してきたことは容易に想像できる。1492年のコロンブスによる新大陸到達とともに、欧州諸国からこのアメリカ大陸への入植が始まるが、ニューヨークの都市的発展の契機は17世紀初頭となる。1609年にオランダ東インド会社所属の探検家ヘンリー・018Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015