ブックタイトルConsultant266号

ページ
24/74

このページは Consultant266号 の電子ブックに掲載されている24ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant266号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant266号

Enjoying the magnificent views of the gorge“Royal Gorge Route Railroad”渓谷の絶景を楽しむ「ロイヤルゴージ・ルート鉄道」アメリカ、キャノンシティー特集土木遺産XII北米発展の礎となった土木技術Special Features / Civil Engineering Heritage XIIハンギング・ブリッジを通過する列車八千代エンジニヤリング株式会社/技術推進本部/技術管理部近藤安統(会誌編集専門委員)KONDO Yasunobu■ロッキー山脈に刻む渓谷を走る鉄道アメリカ西部有数の都市であるコロラド州の州都デンバー。標高1,600mにあることからマイル・ハイ・シティーと呼ばれる。1886年に信州上田藩主次男の松平忠厚が日本人として初めてデンバーの地を踏んで以来、日本人が移り住むようになった。忠厚はアメリカで土木と建築を学び、ニューヨークの建設会社に土木技師として在職中、ブルックリン橋の建設に携わった。コロラド州初の正式な日本人市民としてデンバー市内のリバーサイド墓地に記念碑が建てられている。そして、その日本にゆかりのあるデンバーから南南西約190kmの地に、フレモント郡の郡庁キャノンシティーがある。19世紀末まで、鉄道はアメリカ各地で輸送手段の中心であった。コロラド州においても、鉄道はロッキー山中の貨物輸送で重要な役割を果たしてきた。その後、自動車や航空機の発達により旅客を中心に多くの路線が廃止になったものの、現在そのいくつかは観光鉄道として復活し、鉄道ファンをはじめ観光客の人気のアトラクションとなっている。そのうちの一つ、ロイヤルゴージ・ルート鉄道は年間約10万人が乗車する人気路線である。キャノンシティーを発着駅として、アーカンザス川が浸食してできた大峡谷「ロイヤルゴージ」を通り抜け、町が衰退して地図から消えてしまったパークデールという西側にある地点まで、往復約35kmを2時間かけて走る。駅には平日でも多くの観光客が訪れ、土産物売り場はごった返すほどである。この鉄道は、「コロラドプラウド」と称する地元食材を使った美味しい料理を席まで持って来てくれることでも人気があり、使われている皿も発着駅近くの刑務所で制作している。出入り自由なオープンカーが連結されていて、景色が堪能できる。列車が発車すると、右手にその刑務所が見えてくる。続いて左手にアーカンザス川が見え、その左岸を遡上する形で列車は渓谷に入る。しばらくすると対岸の岩肌に022Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015